その「長生き」は、本当に親の幸せですか?
「親にはいつまでも元気で長生きしてほしい」――誰もが抱く、親への深い愛情と願いでしょう。
しかし、その「長生き」が、本当に親御さんにとっての幸せとイコールなのか、ふと疑問を感じることはありませんか?
「毎日ベッドで起き上がれず話もできないが、あと10年生きられる」か「好きなものを食べて、好きな人と話して、あと2年生きられる」のどちらがより理想的な生き方か、と聞かれたら、多くの人は後者、つまりたとえ短くても自分らしい生き方を選ぶと答えるでしょう。
厚生労働省の調査では、7割以上の人が延命治療よりも自然な最期を望むという結果も出ています。
(参考:内閣府「高齢者の健康に関する調査結果」(PDF) p.26 「仮に、90歳になった時、AとBのどちらの生き方を希望しますか」)
(参考:厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(PDF) p.16 「延命治療の希望について」)
あなたは、親御さんが心から「生きていてよかった」と思える日々を送ってほしいと願っているはずです。しかし、介護の現場では、目の前の「命を繋ぐ」ことに必死になり、気づけば親御さんが「ただ長生きしている」だけの状態になってしまっているという現実があるかもしれません。
それは、もしかしたら、親御さんの望まない生き方を強いているのではないか、という家族介護者の方の心の葛藤に繋がることがあります。
「介護に後悔したくない」――その強い思いを持つあなたに、本記事ではこのジレンマに深く寄り添います。
単なる「長生き」ではない、親御さんが「自分らしく」輝き続けるための「健康長寿」について、多角的な視点から掘り下げていきます。
そして、その実現が、介護するあなた自身の「これでよかった」という深い安心感に繋がり、親子の絆をさらに深めるヒントとなるでしょう。
【大前提】健康長寿とは?平均寿命・健康寿命との違い

「長生き」と一言で言っても、そこには様々な側面があります。
まずは、混同されがちな平均寿命、健康寿命、そして本記事のテーマである健康長寿の違いを明確に理解しましょう。
- 平均寿命(Average Life Expectancy)
その年に生まれた0歳の赤ちゃんが、平均してあと何年生きられるかを示すものです。
これは、文字通り「命の長さ」を表し、医療の進歩や公衆衛生の改善によって年々延び続けています。
日本は世界でもトップクラスの長寿国であり、厚生労働省のデータによると、2023年の男性の平均寿命は81.05年、女性は87.09年となっています。(参考:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」) - 健康寿命(Healthy Life Expectancy)
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。
つまり、病気や介護に頼らず、自立して活動できる期間のことです。
この健康寿命と平均寿命の間には、少なからず差があります。
例えば、2019年のデータでは、男性で約8.73年、女性で約12.06年の差があり、この期間は介護や医療を必要とする期間となります。(参考:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」) - 健康長寿(Healthy Longevity)
本記事で焦点を当てる健康長寿とは、単に健康寿命を延ばすだけでなく、心身ともに満たされ、自分らしい生き方を最期まで送れる状態を指します。
つまり、単に病気なく自立しているだけでなく、精神的な幸福感や社会とのつながり、生きがいを感じながら、質の高い人生を長く続けることを意味します。
平均寿命を延ばすこと、健康寿命を延ばすことはもちろん重要ですが、それに加えて「どのように生きるか」という質的な側面を重視するのが健康長寿の考え方です。
親御さんに「自分らしく生きてほしい」と願う家族介護者にとって、この「健康長寿」という視点を持つことが、後悔のない介護、そして親子の幸福感に繋がる鍵となるでしょう。
健康長寿のポイントとコツ:親の「自分らしさ」を引き出すために

親御さんが「自分らしく」輝き続けるための健康長寿には、日々の生活習慣が大きく影響します。
特に心と体を健やかに保つ習慣は、QOL(生活の質)を高める上で欠かせません。
高齢者のQOLについての記事はこちら;
【シニア世代のウェルビーイングな暮らしをどう実現する?】高齢者の福祉・QOL向上に役立つ健康習慣完全ガイド
趣味や生きがいが織りなす心の健康
身体の健康だけでなく、心の健康もまた、健康長寿には不可欠です。
生きがいを感じ、日々に彩りがあることは、精神的な安定だけでなく、身体的な健康にも好影響を与えることが分かっています。
内閣府の調査によると、生きがいを感じる瞬間のトップは『孫など家族との団らんの時』であり、実に44.1%もの高齢者がそう答えています。
このデータは、家族との交流、特に「孫」のような存在との触れ合いが、高齢者の心の健康に絶大な効果をもたらすことを示しています。
(参考:内閣府「平成27年版高齢社会白書(全体版)」(PDF) p.65「生きがいを感じる時」)
孤独感を払拭し、笑顔が増えることで、日々の生活はより豊かになるでしょう。
新しい趣味を見つけたり、昔からの趣味を再開したりすることも、心の健康を保つ大切な要素です。
例えば、地域の文化センターでの習い事、ボランティア活動への参加、昔好きだった映画や音楽に触れる時間なども有効です。
大切なのは、「楽しい」と感じる活動を見つけ、継続することです。
介護者のあなたが、親御さんの「好き」を見つけるサポートをしてあげることも、大切な親孝行となるでしょう。
高齢者の方の趣味について解説した記事はこちら;
【高齢者の趣味、徹底解説】老後の時間を活用し、新しい生きがいや趣味を見つけるには?ランキングTOP9も紹介!
無理なく楽しく続ける運動習慣
適度な運動は、身体機能の維持・向上だけでなく、外出や人との交流のきっかけにもなります。
運動によって体を動かすことで、気分転換になり、ストレス解消にも繋がります。
親御さんの身体状況に合わせて、無理なく続けられる運動を見つけることが大切です。
例えば、自宅でできる簡単なストレッチや、椅子に座ってできる体操、近所を散歩するウォーキングなど、まずは日常生活に運動を取り入れる意識から始めましょう。
自治体が開催する高齢者向けの健康教室や、地域の公民館でのリハビリ・体操教室に参加するのも良いでしょう。
専門家の指導のもと、仲間と一緒に楽しみながら体を動かす習慣を身につけることが、継続の秘訣です。
転倒リスクを考慮し、バランス感覚を養う運動や、下半身を強化する運動を取り入れることも重要です。
豊かな「人との関わり」で心を豊かに
家族との関係は大切ですが、時に近すぎるからこそ生じる遠慮や、ルーティン化してしまう側面もあります。
そんな中で、家族とは違う第三者との交流は、親御さんの心に新しい刺激と非日常感をもたらします。
特に、若者との交流は、高齢者にとって知的好奇心を刺激し、自己肯定感を育む大切な機会となります。
無邪気な若者の笑顔や会話に触れることで、親御さんの心がほぐれ、自然と笑顔がこぼれます。
これは、身体的介護だけでは届かない「心のリハビリ」と呼べるでしょう。
若者から新しい流行や情報に触れることは、脳を活性化させ、刺激的な毎日を過ごすことに繋がります。
「最近お母さん、表情が明るくなりましたね!」「お父さん、なんだか楽しそうにしてますね!」といった周りの言葉は、介護する家族にとって何よりの喜びとなり、あなたの介護のモチベーションにも繋がるはずです。
高齢者の方の話し相手について解説した記事はこちら;
【話し相手が欲しい60代必見】予算・性格別で選ぶ最適な話し相手の見つけ方と段階別始め方ガイド
【高齢の親の話し相手、誰がする?】高齢者のお話し相手をする傾聴バイトなどボランティアやビジネス含む民間サービスをご紹介!
4.食生活と睡眠の質を高める工夫
健康長寿を支える土台となるのが、毎日の食事と睡眠です。
食事のポイント
高齢期に合わせた栄養バランスと、食事を楽しむためのヒント年齢とともに変化する体に必要な栄養素を意識した食事は、健康長寿の基本です。
特に、筋肉量維持のためにタンパク質をしっかり摂ること、骨の健康のためにカルシウムやビタミンDを補給することが重要です。
また、単に栄養を摂るだけでなく、旬の食材を取り入れたり、親御さんの好みに合わせた味付けにしたり、家族や友人と食卓を囲んだりすることで、食事そのものを楽しむことが、心の満足感にも繋がります。
少量でも高栄養価の食品を選んだり、食欲が落ちた時に食べやすい工夫をしたりすることも大切です。
睡眠のポイント
良質な睡眠が心身にもたらす効果と改善策十分な睡眠は、体の回復だけでなく、脳機能の維持にも欠かせません。
寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりと、高齢期には睡眠の悩みを抱えがちですが、生活リズムを整えたり、寝る前のカフェイン摂取を控えたり、適度な運動を取り入れたりすることで、睡眠の質を改善できる場合があります。
快適な寝具を選び、寝室の環境を整えることも重要です。
日中の適度な日光浴は、体内時計を整え、夜の良質な睡眠に繋がると言われています。
健康長寿の落とし穴となる注意ポイント

親御さんの健康長寿を願うからこそ、知らず知らずのうちに陥ってしまう「落とし穴」もあります。
望まない「長生き」だけになってしまわないよう、家族介護者として注意すべき点を確認しましょう。
知らずに陥りがちな「健康長寿のワナ」
「食べさせているだけ」「寝かせているだけ」になっていませんか?
これは、親御さんの身体的な生命維持に注力するあまり、精神的な活動や社会との繋がりがおろそかになってしまう状態です。
過度に「長生き優先」のケアに偏ると、親御さん自身の意思や「こう生きたい」という思いが尊重されない結果に繋がりかねません。
やることがない、寝たきりな高齢者の方に潜む危険について解説した記事はこちら;
【高齢者の「やることがない」は大丈夫!?】高齢者が何もやりたがらない理由とその問題点から、解決策までを解説
親御さんが何を望んでいるのか、どんなことに喜びを感じるのか、その「自分らしさ」を大切にする視点を持つことが重要です。
活動が減ることで、脳への刺激も減り、結果的に認知機能の低下を早めてしまうリスクも潜んでいます。
介護は、単なる身体的なケアに留まらず、精神的、社会的な側面も深く関わってくることを忘れてはなりません。
「フレイル」と「サルコペニア」の兆候を見逃さない
健康長寿を阻む大きな要因として、「フレイル」と「サルコペニア」が挙げられます。これらの状態を早期に察知し、対策を講じることが、親御さんが自立した生活を送れる期間を延ばすために非常に重要です。
加齢による虚弱(フレイル)のサインと予防
フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態になるリスクが高まった状態を指します。以下の5つの項目のうち、3つ以上当てはまるとフレイル、1~2つだとプレフレイル(フレイルの前段階)と判断されます。
- 体重減少: 意図しない年間2kg以上の体重減少
- 疲労感: 「ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする」
- 活動量: 軽い運動・体操を週1回もしていない
- 歩行速度: 通常歩行速度が遅い(男性1.0m/秒未満、女性0.8m/秒未満など)
- 筋力(握力): 握力が低い(男性28kg未満、女性18kg未満)
これらの兆候が見られたら、適切な栄養摂取、適度な運動、そして社会参加を通じて、フレイルの進行を予防・改善することが可能です。
フレイル予防について解説した記事はこちら;
【趣味と運動でフレイル予防】楽しみな時間を確保して、シニアの人生の質(QOL)向上と老化防止をするには
筋肉量減少(サルコペニア)への対策
サルコペニアは、加齢に伴い筋肉量が減少していく状態です。これにより、転倒しやすくなる、立ち上がりにくくなる、歩くのが遅くなるなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。
良質なタンパク質を意識的に摂取することと、レジスタンス運動(筋力トレーニング)が対策として有効です。スクワットや椅子からの立ち上がり運動など、無理のない範囲で筋力を維持・向上させることを目指しましょう。
これらの兆候は、親御さんの小さな変化から気づくことができます。日々の会話や行動をよく観察し、異変があれば早めに医療機関や地域の相談窓口に相談することが大切です。
高齢者の孤立と認知機能低下のリスク
人との繋がりが希薄になることは、高齢者の心の健康に大きな影を落とし、うつ病や認知機能低下のリスクを高めます。
適度な刺激と交流は、脳を活性化させ、認知機能の維持に重要な役割を果たします。地域活動への参加、友人との交流、そして新しい人との出会いは、親御さんの心身の健康を保つ上で欠かせない要素です。
特に、会話や新しい情報を得ること、複雑な思考を伴う活動は、脳の活性化に繋がります。
孤立を防ぎ、社会との接点を維持することが、健康長寿における重要な側面なのです。
人とのつながり…高齢者の方の友達作りについて解説した記事はこちら;
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高齢の親に「自分らしい健康長寿」でいてもらうためには?家族介護者へ贈るヒント

親御さんが「自分らしく」健康長寿を謳歌できるよう、家族介護者としてできることがあります。
それは、親御さんへの接し方や、外部サービスの活用方法を見直すことです。
親の「本音」に耳を傾けるコミュニケーション
無理強いしない、選択肢を尊重する姿勢
親御さんの健康を気遣うあまり、「こうすべき」「これをしなさい」と指示的になってしまうことがあるかもしれません。これは家族介護において重要な姿勢で、多少強く行動を強制することは仕方ないです。
食事や活動、日々の過ごし方について、無理強いすることはどうしても多くなってしまいます。
しかしながら、できるだけ複数の選択肢を提示し、親御さん自身に選んでもらう機会を増やしましょう。
親御さんからうまく回答が返ってこないことも多いと思いますが、そういう時は二択の質問など、答えやすいものにしてあげるとよいでしょう。
自己決定の機会があることは、高齢者の自己肯定感を高め、生きがいにも繋がります。
「何をしたいか」「どう生きたいか」を一緒に考える
時間単に日々の介護を行うだけでなく、「これから何をしたい?」「どんな生活が理想?」といった将来の希望や、日々の小さな楽しみについて一緒に語り合う時間を持つことが大切です。
アルバムを見ながら昔の話を聞いたり、テレビ番組を一緒に見て感想を言い合ったり、些細な会話から親御さんの「本音」や「願い」が見えてくるはずです。
その「本音」に耳を傾けることで、本当に望む「自分らしい」健康長寿の形が見えてくるでしょう。
完璧を目指さない「肩の力を抜いた介護」のススメ
介護は長期にわたることが多く、家族介護者への身体的・精神的負担は計り知れません。
全てを一人で抱え込もうとすると、心身ともに疲弊し、共倒れになってしまうリスクがあります。
また心の疲れから、親御さんに思ってもないことを言ってしまうこともあります。
こちらの記事も合わせて読むとお勧めです;
【高齢の親と話すのが面倒くさい!】話が通じない高齢の親にイライラしないための対策と高齢者との会話の壁(原因)を解説!
介護負担を一人で抱え込まず、外部サービスを賢く利用する
介護保険サービスはもちろんのこと、地域のボランティア活動や民間サービスなど、活用できるものは積極的に利用しましょう。
ショートステイやデイサービス、訪問介護などを利用することで、親御さんの生活に変化が生まれるだけでなく、家族介護者自身の休息時間も確保できます。
プロの手を借りることで、介護の質が向上するだけでなく、家族介護者自身の負担も軽減されます。
家族介護者自身の心身の健康が、親の幸福感にも繋がる
あなた自身が心身ともに健康でなければ、親御さんを支え続けることはできません。
十分な休息を取り、自分の時間を持つこと、趣味や友人との交流を楽しむことも大切です。
時には地域の包括支援センターや専門家に相談し、悩みを共有しましょう。
家族介護者が笑顔でいることが、親御さんの安心感と幸福感にも繋がります。
親御さんは、あなたの笑顔を見たいと心から願っているはずです。
まとめ:親も自分も「生きていてよかった」と思える未来へ
健康長寿は、単に長く生きることではありません。それは、親御さんが心身ともに満たされ、自分らしい生き方を最期まで謳歌できる状態を指します。家族介護者として大切なのは、親御さんの「自分らしさ」を尊重し、身体の健康だけでなく、心の健康や人との繋がり、生きがいを育むことです。
介護に「後悔したくない」というあなたの強い思いに、『まごとも』は寄り添います。孫世代の若者との交流を通じて、親御さんが「生きていてよかった」と心から思える瞬間を増やすことで、介護するあなた自身も「これでよかった」という希望と安心感を得られるでしょう。
今日からできる小さな一歩で、親も自分も笑顔になれる、そんな「自分らしい」健康長寿の未来を一緒に築いていきましょう。
健康長寿のお手伝いをするサービス「まごとも」

今回の記事では健康長寿について深く掘り下げてきました。
健康長寿とは、ただ単に長生きするということではなく心身ともに満たされ、自分らしい生き方を最期まで送れる状態のことでした。
そのためには、日ごろからの運動や人とのかかわりが第一に大切です。
そんな健康長寿のための生活をサポートできるサービスが「まごとも」です。
『まごとも』は、学生がシニアのもとを訪問し、お出かけやスマホの支援をしたり、話し相手になったりするサービスです。
エネルギーを持った若者との交流でその活力をシニアの方にも受け取っていただき、笑顔で前向きに日々を過ごせるようになります。
実際にまごともをご利用いただいたシニアの皆様からは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」といった声を頂戴しており、心から楽しかったと思える時間を提供しています。
また、ご家族の方に安心していただけるように、訪問後には写真付きの活動レポートをお送りしており、「親の楽しそうな顔が見れて嬉しい」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を頂戴しています。
「最近おじいちゃん・おばあちゃんの元気がなくて…」とお悩みの方、ぜひ一度まごともを利用してみませんか?
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