今回のお悩み:これまでたくさん迷惑をかけてきたので、親の願いを叶えてあげたい

今回届いたお悩みはこちらです。

私には、一人暮らしをしている80代前半の父がいます。
これまで さんざん迷惑をかけてきたのですが、あまり素直に感謝を伝える機会を持てずにここまで 来てしまいました。
そこで、何か 父の願いを叶える手伝いができればと思ったのですが、本人に何をすればいいか聞く勇気はなく、どのようにすればいいか迷っています。
ご相談の場として ここが適切かどうかわからないのですが、アドバイスをいただければ幸いです。
( 50代男性 )

高齢になると、何かと生活に支障が出ることが多くなり、家族介護者は そこに対する身体的ケアで精一杯になってしまいがちです。
しかし、高齢者にも 当然 人間としてのいろいろな願いや夢があるはずです。
今回は、高齢の親の願いを叶えるお手伝いがしたいが、何をしていいかわからないという素敵なご相談をいただきましたので、3人の専門家・実際の介護経験者をお呼びして それぞれの見解をお聞きしました。

① 老年心理学研究者 小坂さん(52)の視点:高齢者の願いの本質を理解する

高齢者が本当に望むもの 高齢者の願いについて考えるとき、私たちはつい「豪華な旅行に連れて行きたい」「高級な贈り物をしたい」といった特別なイベントや物に目が向きがちです。
しかし、実際に高齢者の願いの傾向を見てみると、案外シンプルなものが多いことがわかります。
多くの高齢者が望むのは、それなりに刺激のある活発な生活を送ること、あるいは平穏な日々を過ごすことです。
特別なことをたまにしてあげるのもいいのですが、実は日常生活の中での小さな幸せを充実させてあげることこそが、一番の親孝行になるのではないでしょうか。

川崎市麻生区役所保健福祉センターの堀口康太氏が行った研究によると、高齢者の願いは主に3つのタイプに分類できるとされています。

  1. 活発性の獲得を望むもの
    「健康で元気な生活を送りたい」「新しい知識や教養を身につけたい」「昔からの趣味を続けたい」などの願いです。これは特に、最近体調を崩した方や、活動的な生活を送ってきた方に多く見られます。
  2. 活発性の維持を望むもの
    「周りの人に迷惑をかけずに生活したい」「友人や仲間とコミュニケーションをとりたい」「自分のことは自分でできるようでいたい」といった願いです。現在の生活レベルを維持したいという思いが強く表れています。
  3. 平穏の維持を望むもの
    「周囲の人と共に穏やかに暮らしたい」「平穏な生活を送りたい」「静かに余生を過ごしたい」などの願いです。特に高齢になるほど、この傾向が強くなるようです。

このようなデータから分かることは、実はお父様の願いというのは、日常の中での基本的な幸せを満たしてもらうことかもしれないということです。
散歩に付き添う、一緒に食事をする、ただ話を聞くといった、シンプルでありながらも心のつながりを感じられることが、何よりの贈り物になる可能性があります。
特に「感謝の気持ちを伝えたい」というご相談者様の思いは、そのまま素直に言葉にすることが一番かもしれません。
高齢になると、残された時間を意識するようになります。
そんな時に子どもから感謝の言葉を聞くことは、何物にも代えがたい喜びとなるでしょう。

② 高齢者福祉施設マネージャー 浜岸さん(47)の視点:願いを形にするアプローチ

プロが実践する願いの叶え方

近年、多くの高齢者施設では「パーソン・センタード・ケア」という考え方が広まっています。
これは、高齢者一人ひとりの個性や人生の歴史を尊重し、その人らしい生活を送れるよう支援するという考え方です。
この考えをもとに、入居者の願いを叶えるプログラムを積極的に取り入れている施設も増えています。

こうした施設での取り組みは、ご家庭でも参考になるかもしれません。
具体的には以下のような方法が実践されています。

ライフヒストリーの把握

高齢者の人生の歴史、大切にしていた物、思い出の場所、好きだった仕事や趣味などを詳しく知ることで、その人の価値観や願いのヒントを見つけるアプローチです。
ご相談者様の場合、お父様との会話の中で「若い頃よく行った場所」や「大切にしている思い出の品」などについて、さりげなく話を振ってみるのも一つの方法です。

願いの見える化

施設では「ウィッシュリスト」といって、入居者の願いをリスト化し、できるものから順に実現していくという取り組みもあります。
直接的に「何か願いはありますか?」と聞くのが難しいようでしたら、「こんなことをしてみたいと思ったことはある?」など、もう少し軽い感じで尋ねてみるのもよいでしょう。

小さな願いから実現する

大きな願いはハードルが高いので、まずは小さな願いから実現していくのも効果的です。
「あの店のラーメンが食べたい」「昔住んでいた場所を見てみたい」など、比較的実現しやすい願いから叶えることで、お互いに自信がつきます。

高齢者の持っている能力を活かす機会を作る

多くの高齢者は「誰かの役に立ちたい」「自分の経験や知識を伝えたい」という願いを持っています。
たとえばお父様が料理が得意なら、一緒に料理をする機会を設けたり、若い家族にレシピを教えてもらったりするといった機会を作るのも良いでしょう。

もちろん、お父様の性格や状況によって、最適なアプローチは異なります。
普段の会話の中で、「こんなものがあったらいいな」「あそこに行ってみたいな」といった何気ない言葉を拾い集めることから始めるのも有効です。
直接的に聞くことが難しければ、第三者(例えば、お父様が信頼している友人や親戚)を通じて聞き出すという方法もあります。

③ 家族介護経験者 新田さん(61)の視点:実体験から得た学び

世代間交流がもたらした予想外の効果

私は15年ほど高齢の父を介護した経験があります。
様々な取り組みを試みましたが、特に印象に残っているのが「まごとも」というサービスの利用です。
これは、大学生が高齢者の家に訪問して、一緒に時間を過ごしたり 見守りを行ったりしてくれるというサービスなのですが、これが予想以上に父の生活に活力をもたらしました。

父は特に若者とのコミュニケーションが好きというわけではなかったのですが、「まごとも」を利用し始めてから、明らかに表情が明るくなり、口数も増えました。
若い世代との交流は、新しい視点や会話、時には適度な刺激をもたらしてくれます。
また、「誰かに話を聞いてほしい」「自分の経験を伝えたい」という高齢者の願いを自然な形で叶える場にもなっています。

「まごとも」のような世代間交流サービスには、以下のようなメリットがあります。

  1. 新鮮な会話と刺激
    家族とは違う視点からの会話や、最近の若者の話題など、新鮮な刺激が得られます。
  2. 教える立場になれる喜び
    若い世代に人生経験を伝えることで、自分の人生を振り返り、価値を見出す機会になります。
  3. 定期的な訪問による生活リズムの形成
    決まった曜日や時間に誰かが来ることで、生活にメリハリができます。
  4. 家族以外の社会的つながりの形成
    家族関係とは別の、新たな人間関係が生まれます。

私の父の場合は、大学生との交流を通じて昔の話をする機会が増え、そこから「もう一度行きたい場所がある」と言い出したことがありました。
それは、若い頃によく登った山だったのですが、その願いを知ることができたのも、「まごとも」の大学生との会話がきっかけでした。

家族だけでは気づけなかった父の願いを知る機会になったことは、私にとっても大きな収穫でした。
直接聞きづらいことでも、第三者を介することで自然と話してくれることもあるのです。

親への感謝を伝える具体的な方法

最後に、ご相談者様が「素直に感謝を伝える機会を持てずにきた」とおっしゃっていることについて。私も同じような経験がありましたが、結局のところ、シンプルに「ありがとう」と伝えることが一番の近道だと思います。
手紙という形で伝えるのも良い方法です。
直接言いづらい場合は、感謝の手紙を書いて渡してみてはいかがでしょうか。
また、お父様への感謝の気持ちを形にする方法として、お父様の若いころの写真や思い出の品をまとめたアルバムを作るのも素敵だと思います。

また、お父様が喜ぶことを一緒にする時間を増やすことも、感謝の気持ちを行動で示す方法の一つです。
一緒に食事をしたり、テレビを見たり、ドライブに行ったりする中で、自然と感謝の言葉が出てくる瞬間を待つのも良いかもしれません。

まとめ

今回は、高齢の親の願いを叶えるための方法について、3人の専門家・介護経験者の視点からご紹介しました。
高齢者の願いは、意外にもシンプルで日常的なものが多く、特別なことより日々の小さな幸せを大切にすることが重要だという点が共通の見解として挙げられました。
高齢者施設での取り組みを参考にした願いの叶え方や、世代間交流サービスを活用した新たなつながりの創出など、様々なアプローチが提案されました。
どの方法も、お父様の個性や状況に合わせて柔軟に取り入れていくことが大切です。
また、感謝の気持ちを伝えることについては、直接的な言葉でも、手紙などの形でも、または行動で示すことでも、何らかの形で伝えることが重要だということが分かりました。

最後に、願いを叶えるお手伝いをしたいというご相談者様の気持ち自体が、すでにお父様への素晴らしい贈り物になっていることを付け加えておきたいと思います。
そのような思いを持つ息子さんがいることは、きっとお父様にとって何よりの幸せではないでしょうか。

おわりに ~まごとも利用のすすめ

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今回は、高齢の親の願いを叶える方法について、3人の専門家・介護経験者の視点から解説してきました。
最後に、家族介護経験者の佐々木さんが紹介していた、大学生が高齢者の自宅に訪問することで、一人暮らしの高齢者の様子を定期的に見守りつつ 日常への刺激や人とコミュニケーションする機会を提供してくれる京大発ベンチャーが開発したサービス、『まごとも』について、もう少し詳しくご紹介します。

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『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。

『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。

ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。

また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。

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詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。

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