今回のお悩み:高齢の親に話し相手がいる状態を作るためにどうすればいいか教えてほしい

今回届いたお悩みはこちらです。

後期高齢者になった80代の父は、2年前に母が亡くなってから ほとんど外に出る機会がなくなってしまいました。
しかし、もともと人と話すのが好きだったこともあり、たまに私が会いに行くと とても楽しそうにいろんな話をしてくれます。
私は 仕事や子育てもあり、たくさん会いに行くことはできないため、何らかの方法で父に話し相手ができればいいなと思っています。
いい方法があれば 教えてください。
( 50代女性 )

今回の相談者さんのケースように 話すのが特別好きというわけではなくても、高齢の親が遠方で一人暮らしをしており、さらに、後期高齢者(75歳以上のシニア世代)を越えてくると、「周りの友達も減って、寂しい思いをしていないか」と不安になる方は多いと思います。
高齢者の話し相手となってくれるようなサービスがあれば 利用したいものだが、どんなサービスがあるのかわからない、という方もいるのではないでしょうか。
そこで、高齢の親に話し相手がほしいときにおすすめのサービスがあるか、今回も3人の専門家をお呼びして それぞれの見解をお聞きしました。

① 介護支援専門員 山津さん(46)の視点:訪問介護と訪問看護の違いを知る

訪問介護サービスの利用条件と制限

多くの方が誤解されていることの一つに、「高齢の親の話し相手として訪問介護を利用できる」というものがあります。
しかし、介護保険制度では「話し相手」という目的だけでの訪問介護サービスの利用は原則として認められていません。
訪問介護は身体介護や生活援助が主な目的であり、単なる会話や話し相手として時間を使うことはできないのです。

ただし、これには例外もあります。
高齢者が精神的に不安定な状態にあったり、何らかの精神疾患を抱えている場合には、訪問看護サービスを利用することで、専門的な立場からの「話し相手」を得ることが可能な場合があります。

訪問看護サービスで得られる精神的サポート

特に、精神科看護に特化した訪問看護ステーションでは、精神科での勤務経験が豊富な看護師が多く在籍しています。
こうした専門的なスキルを持った看護師は、医療的なケアだけでなく、高齢者の精神状態の確認や不安の軽減、服薬管理といった幅広いサポートを提供することができます。

訪問看護サービスを利用するには、主治医の指示書が必要です。
お父様が「話し相手がほしい」と感じており、それが精神的な健康に影響していると考えられる場合は、まずはかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
または、地域のケアマネージャーや訪問看護ステーションに直接相談してみることも可能です。

専門家のアドバイスを受ける際のポイント

なお、訪問看護サービスを検討する際には、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

  1. お父様の精神状態や不安の度合いを具体的に伝える
  2. 過去の病歴や現在服用している薬があれば、それらの情報も伝える
  3. どのような形での精神的サポートを希望するのか(話し相手、不安の軽減など)を明確にする

このような情報を事前に整理しておくことで、より適切なサービスの提案を受けることができます。
訪問看護は介護保険で利用できるサービスなので、費用の面でも比較的負担が少なく済む点も魅力です。

② 社会福祉士 堀口さん(52)の視点:多様なコミュニケーション支援サービス

デイサービスで広がる交流の輪

高齢者の話し相手を考える際、まず検討していただきたいのが「デイサービス」の利用です。
デイサービスは単なる介護サービスではなく、同世代の方々と交流できる貴重な場でもあります。
お父様のように話すことが好きな方にとっては、デイサービスでの会話や活動が生活の楽しみになることも少なくありません。

デイサービスでは、食事やレクリエーション、入浴などのサービスを受けながら、他の利用者やスタッフとコミュニケーションを取ることができます。
同じ地域に住む同世代の方々との出会いは、新たな友人関係につながることもあります。
また、定期的に通うことで生活にリズムが生まれ、外出する機会も増えるため、閉じこもりがちな生活の改善にも効果が期待できます。

「傾聴ボランティア」による心のケア

次に紹介したいのが「傾聴ボランティア」というサービスです。
これは、専門的な研修を受けたボランティアが高齢者のお宅を定期的に訪問し、お話を聞く活動です。
多くの自治体や社会福祉協議会で実施されており、無料または低料金で利用できることが多いのが特徴です。

傾聴ボランティアの最大の特徴は「聴くプロ」である点です。
単に会話をするのではなく、高齢者の話にじっくりと耳を傾け、共感し、心の内を表現する手助けをします。
特に、家族には言いにくい悩みや思い出話などを安心して話せる場となり、精神的な安定につながります。

お父様のように話すことが好きな方には、このような「話を聴いてくれる人」の存在が大きな支えになるでしょう。
地域の社会福祉協議会や地域包括支援センターに問い合わせれば、最寄りの傾聴ボランティア団体を紹介してもらえます。

民間の話し相手サービス

介護保険外のサービスとしては、民間企業が提供する「話し相手サービス」も選択肢の一つです。
これらのサービスは、家事代行や身体介護などを提供する会社が「話し相手」に特化したプランを用意していることもあり、高齢者の趣味や興味に合わせた対応が期待できます。

例えば、将棋や囲碁が好きな方には一緒に対局してくれるスタッフを、旅行や歴史が好きな方にはそうした話題に詳しいスタッフを派遣するなど、高齢者の好みに合わせたマッチングも可能です。
料金は一般的に時間制で、1時間あたり2,000円〜4,000円程度が相場となっています。

こうした民間サービスの利点は、利用時間や頻度を柔軟に設定できる点にあります。
週に1回、2時間だけといった利用も可能なので、お父様の希望や予算に合わせて調整しやすいでしょう。

③ 福祉工学研究者 升野さん(43)の視点:テクノロジーを活用した新しいコミュニケーション手段

進化する介護ロボットの可能性

テクノロジーの発展により、高齢者の話し相手として機能する介護ロボットやAIデバイスが注目を集めています。
これらは単なる機械ではなく、会話や感情表現が可能な「コミュニケーションパートナー」として設計されており、高齢者の孤独感の軽減に一定の効果を示しています。

代表的な例としては、会話型のコミュニケーションロボット「PARO(パロ)」や「LOVOT(ラボット)」などがあります。
これらのロボットは、高齢者の言葉に反応したり、触れられると喜んだりするなど、感情的な交流が可能です。
特に「LOVOT」は、抱っこすると温かさを感じられるなど、物理的な触れ合いも重視した設計になっています。

また、会話に特化したAIスピーカーも進化しています。
「Amazon Echo」や「Google Nest」などは、天気や時間を教えるだけでなく、雑談やクイズ、懐かしい音楽をかけてくれるなど、多機能なコミュニケーションが可能です。
声だけで操作できるため、パソコンやスマートフォンの操作が苦手な高齢者でも比較的簡単に使えるのが魅力です。

ロボットやAIを導入する際のポイント

介護ロボットやAIデバイスを導入する際には、以下のポイントに注意すると良いでしょう。

  1. お父様の技術への抵抗感を確認する
    高齢者の中には新しい技術に抵抗がある方もいます。まずは簡単な機能から始め、徐々に慣れていってもらうのがコツです。
  2. 実際の人間とのコミュニケーションのバランスを考える
    ロボットやAIはあくまで補助的な存在です。家族や地域の方々との実際の交流も大切にしましょう。
  3. 定期的なメンテナンスや設定の確認を行う
    電池切れや設定の問題で使えなくなると、高齢者がさらに孤独を感じる可能性があります。定期的なチェックが必要です。

最近では、高齢者向けにカスタマイズされたタブレットデバイスも登場しています。
これらは家族との写真や動画の共有、ビデオ通話など、遠方の家族とのつながりを感じられる機能に特化しており、高齢者の「話したい」という欲求を満たす一助となるでしょう。

テクノロジーは人間の温かみのある交流に取って代わるものではありませんが、日常的な会話の相手として、また家族との橋渡し役として活用することで、高齢者の孤独感を和らげる効果が期待できます。

まとめ

今回は、高齢の親に話し相手がほしいときのおすすめサービスについて、3人の専門家の視点からご紹介しました。
訪問看護サービスによる専門的な精神的サポート、デイサービスや傾聴ボランティアによる人との交流、そして最新の介護ロボットやAIデバイスによるテクノロジーを活用したコミュニケーション支援など、様々な選択肢があることがわかりました。

これらのサービスやツールは、それぞれ特徴や利点が異なります。
お父様の性格や好み、健康状態、利用可能な予算などを考慮しながら、最適な組み合わせを見つけることが大切です。
また、どのサービスを選ぶにしても、家族としての直接のコミュニケーションを大切にすることも忘れないでください。

高齢者の孤独感は単なる「寂しさ」にとどまらず、心身の健康に大きな影響を与える可能性があります。
今回ご紹介したサービスやツールを活用することで、お父様が豊かなコミュニケーションのある生活を送れるよう、サポートしていただければと思います。

なお、お住まいの地域によって利用できるサービスや条件が異なる場合がありますので、詳細については地域の地域包括支援センターやケアマネージャーに相談されることをお勧めします。
彼らは地域の資源に詳しく、お父様に最適なサービスを紹介してくれるでしょう。

おわりに ~まごとも利用のすすめ

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今回は、高齢の親に話し相手がほしいときにおすすめな方法を、3人の専門家の視点からご紹介してきました。
社会福祉士の堀口さんは 民間のサービスも上手に活用することをすすめていましたが、最後に、高齢の親の話し相手として民間サービスを利用する際の選択肢の一つとして、大学生が高齢者の自宅に訪問し、楽しい時間を過ごしたり定期的な見守りを行ったりするという京大発ベンチャーが開発したサービス、『まごとも』をご紹介します。

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『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。

『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。

ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。

また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。

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詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。

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