父が75歳を迎えた頃、「最近、体の動きが鈍くなってきたような気がする」とポツリと漏らしたことがありました。
それまで毎朝欠かさず行っていた散歩も、徐々に億劫になってきたと言うのです。
私たち家族はその変化に気づきながらも、単なる加齢のせいだと考えていました。

しかし、後になってそれが「フレイル」という状態の始まりだったことを知りました。
フレイルとは、加齢に伴う心身の機能低下のことで、栄養不足や運動不足、社会的な孤立などが原因となり、放置すると健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ただし、重要なのは、適切な対策を取ることで予防や改善が可能だという点です。

今回は、父との経験を通して学んだフレイルについての理解と、その予防に効果的だった取り組みについてお話ししたいと思います。
この記事では、フレイルの原因と特徴、そして具体的な予防策について、実体験を交えながら詳しく解説していきます。
皆さんやご家族の中にも、体力の低下や意欲の減退に不安を感じている方がいらっしゃるかもしれません。
この記事を通して、フレイル予防のための具体的な対策が分かり、より安心して日々を過ごせるようになっていただければ幸いです。

フレイルとは何か?基本の理解

父の変化に気づいてから、私たち家族は医師に相談し、フレイルについて詳しく学ぶことにしました。
フレイルは単なる老化現象ではなく、予防や改善が可能な状態だと知り、希望が持てました。

最初に驚いたのは、フレイルが身体的な衰えだけでなく、心理面や社会面での変化も含む総合的な健康状態を指すということでした。
父の場合、体力の低下に加えて、外出を控えがちになり、趣味の園芸サークルにも行かなくなるなど、生活全体に変化が表れていました。

医師からは、フレイルの早期発見と対応が非常に重要だと教えていただきました。
特に印象的だったのは、「フレイルは予防可能で、適切なケアがあれば改善も期待できる」という言葉でした。
これは私たち家族にとって大きな励みとなりました。

フレイルとサルコペニアの違い

「フレイル」と「サルコペニア」という言葉を初めて耳にしたとき、両者の違いがよく分かりませんでした。
しかし、医師の丁寧な説明で、その違いを理解することができました。

フレイルは、身体的、心理的、社会的な要因が絡み合った複合的な健康状態を指します。
一方、サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下に特化した状態です。
父の場合、体力の低下だけでなく、外出を控えがちになるなど社会的な面での変化も見られ、これがまさにフレイルの特徴的な症状でした。

栄養不足や運動不足がフレイルの原因となることも分かりました。
特に、母の他界後は食事が不規則になり、それが体力低下を加速させていたようです。
また、社会的な孤立も大きな要因の一つでした。
これらの問題に対しては、バランスの取れた食事の提供や、定期的な運動、地域の活動への参加を促すことで、少しずつ改善が見られるようになりました。

高齢者におけるフレイルの定義

父の担当医から、フレイルについてさらに詳しい説明を受けました。
フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間に位置する段階で、適切な介入により改善が可能だということです。
具体的には、以下のような症状が見られます:

筋力低下や体重減少といった身体的な変化はもちろんのこと、認知機能の低下や社会的な孤立も重要な症状となります。
父の場合も、徐々に物忘れが増えてきたり、友人との付き合いが減ったりといった変化が見られました。
これらの症状は、一つ一つは軽いものでも、複合的に影響し合うことで生活の質を大きく低下させる可能性があります。

特に注目すべきは、適切な介入がなければ健康状態が急速に悪化する可能性があるという点です。
しかし、栄養管理や運動習慣の改善、社会活動への参加を通じて、フレイルの予防や改善が可能だということも分かりました。
実際、父の場合も、これらの取り組みを始めてからは、少しずつですが確実に体力や活力が戻ってきました。

フレイルの原因を探る

父のフレイル状態に気づいてから、私たち家族は医師と相談しながら、その原因について詳しく調べていきました。
フレイルの原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることが分かってきたのです。

栄養不足とフレイルの関係

母が他界してから、父の食事の質が明らかに変化していました。
以前は母が栄養バランスを考えて作ってくれていた食事が、簡単な惣菜やインスタント食品で済ませることが増えていたのです。
特に気になったのは、肉や魚、豆類などのタンパク質が不足していることでした。

医師からは、高齢者の場合、食欲の低下や消化機能の衰えにより、必要な栄養素を十分に摂取できないことが多いと説明を受けました。
特にタンパク質やビタミンD、カルシウムの不足は、筋肉量の減少や骨の脆弱化を引き起こし、フレイルの進行を加速させる可能性があるとのことでした。

この問題に対しては、週末に私が訪問して作り置きをしたり、配食サービスを利用したりすることで、少しずつ改善を図っていきました。
栄養バランスが整ってくると、父の表情にも活気が戻ってきたように感じられました。

運動不足が引き起こす問題

散歩を控えるようになったことで、父の筋力低下が加速していったように思います。
特に顕著だったのは、階段の上り下りが以前より大変そうになり、それがさらなる活動量の減少につながっていたことです。

医師からは、運動不足がサルコペニアを引き起こし、それがさらにフレイルを悪化させる可能性があると指摘されました。
実際、運動不足が続くことで、心肺機能の低下や代謝の悪化も懸念されます。
また、筋力が低下することで転倒や骨折のリスクも高まるとのことでした。

この問題に対しては、まず近所の公園までの散歩から再開することにしました。
最初は5分程度の短い距離からでしたが、徐々に距離を延ばしていきました。
また、自宅でできる簡単な筋力トレーニングも取り入れ、少しずつ体力を取り戻していく様子が見られました。

社会的孤立がもたらす影響

退職後、徐々に社会との接点が減っていった父。
特に母の他界後は、外出の機会が激減し、それが心身の活力低下につながっていたことを、今では痛感しています。
社会的な孤立は、心理的なストレスを増大させ、うつ病や不安症状を引き起こす可能性があることを、医師から教えていただきました。

実際、父の場合も、趣味の園芸サークルに行かなくなったことで、友人との交流が減り、会話も少なくなっていました。
これにより、日常生活への意欲が低下し、それが身体活動の減少にもつながっていたのです。また、一人で食事をすることが増えたことで、食事の質も低下しがちでした。

この問題に対しては、地域の高齢者サロンへの参加を提案しました。
最初は気が進まない様子でしたが、以前からの知り合いが参加していることもあり、徐々に楽しみにするようになっていきました。
人との交流が増えることで、表情も明るくなり、生活にもリズムが戻ってきました。

フレイルの特徴と進行の兆候

父の状態を振り返ってみると、フレイルには様々な特徴や進行の兆候があることに気づきました。
これらの変化は、一見すると単なる年齢による衰えのように見えますが、実は重要な警告サインだったのです。

身体的特徴と健康影響

父の場合、最初に気づいた変化は歩く速度の低下でした。
以前なら10分で行けていたスーパーまでの道のりに、15分、そして20分とかかるようになっていきました。
また、買い物袋を持ち帰るのも徐々に負担になっていったようです。

医師からは、これらの変化がフレイルの典型的な身体的特徴であると説明を受けました。
特に気をつけるべきは、筋力低下に伴うサルコペニアの進行です。
筋肉量が減少することで、転倒や骨折のリスクが高まるだけでなく、免疫力の低下にもつながる可能性があります。

実際、父も一度軽い転倒を経験し、それが更なる活動量の低下を招くきっかけとなってしまいました。
しかし、医師から適切なアドバイスを受け、タンパク質を意識した食事と軽度の筋力トレーニングを始めたところ、少しずつ体力が戻ってきました。
特に、自宅でできる簡単な運動を継続することで、日常生活での動作がスムーズになっていくのを実感できました。

心理的・社会的な特徴

身体的な変化と並行して、父の様子には心理的な変化も現れていました。
以前は積極的に参加していた町内会の活動にも、「最近は疲れやすくて…」と消極的になっていったのです。
また、「みんなに迷惑をかけるのではないか」という不安も口にするようになりました。

医師からは、このような心理的な変化もフレイルの重要な特徴の一つだと教えていただきました。
特にうつ傾向や不安感は、社会的な孤立と相まって、フレイルの進行を加速させる可能性があるそうです。

この問題への対処として、まずは家族としてしっかりと話を聞き、父の気持ちに寄り添うことから始めました。
また、地域の高齢者サロンで知り合った同世代の方々との交流が、父の心理面でのサポートとなりました。
人との関わりが増えることで、少しずつ自信を取り戻していく様子が見られました。

フレイル予防のための具体的な方法

父のフレイル改善に向けた取り組みを通じて、予防や改善には総合的なアプローチが重要だと実感しました。以下に、私たち家族が実践して効果を感じた方法をご紹介します。

栄養管理と食事のポイント

食事の改善は、最も大きな課題の一つでした。
医師から「高齢者の場合、特にタンパク質の摂取が重要」とアドバイスを受け、以下のような工夫を始めました。

毎日の食事で魚や肉、豆類を必ず取り入れるようにし、野菜も積極的に摂取するようにしました。
父は最初、「そんなに食べられない」と言っていましたが、食べやすい大きさに切ったり、温かいうちに食べられるよう時間を調整したりすることで、少しずつ食事の量と質が改善していきました。

また、水分摂取にも気を配りました。
脱水症状はフレイルのリスクを高めるため、こまめに水分を取るよう声かけをしました。
特に運動後や入浴前後の水分補給を習慣づけることで、体調も安定してきました。

適切な運動習慣の取り入れ方

運動については、無理のない範囲で徐々に習慣化することを心がけました。
最初は自宅周辺の散歩から始め、体力が付いてきたところで、近くの公園でのラジオ体操にも参加するようになりました。

特に効果を感じたのは、理学療法士の方に教えていただいた椅子を使った簡単な筋力トレーニングです。
テレビを見ながらでもできる運動なので、父も継続的に取り組むことができました。
また、同じような運動をしている仲間ができたことで、モチベーションの維持にもつながりました。

社会的参加の重要性

私たちが最も力を入れたのが、社会的な交流の機会を増やすことでした。
地域の高齢者サロンや趣味のサークルなどに参加することで、父は新しい友人もでき、生活に張りが出てきました。

特に、週に一度の園芸サークルでは、自分の育てた野菜や花を他の参加者と交換したり、栽培のコツを教え合ったりする中で、自然と会話が増えていきました。
この活動は、運動不足の解消にもつながり、一石二鳥の効果がありました。

フレイルに関するよくある質問

父のフレイル予防に取り組む中で、多くの方から質問を受けました。
ここでは、特によく聞かれる質問についてお答えしたいと思います。

フレイルとサルコペニアの違いは何ですか?

この質問は、私たち家族も最初は悩んだポイントでした。
医師の説明によると、フレイルは身体的・精神的な脆弱性全般を指す広い概念で、サルコペニアは特に筋肉量と筋力の低下に焦点を当てた状態だそうです。

父の場合、サルコペニアによる筋力低下がフレイルの一因となっていましたが、それ以外にも食欲低下や社会的な孤立など、様々な要因が重なっていました。
この違いを理解することで、より適切な対策を立てることができました。

フレイルの進行を遅らせる方法は?

私たちの経験から、最も効果的だったのは「継続できる」取り組みを見つけることでした。
具体的には、毎日の散歩や簡単な筋力トレーニング、バランスの取れた食事の摂取、そして地域活動への参加です。

特に重要なのは、無理のない範囲で始めることです。
父の場合も、最初は5分程度の散歩から始めて、徐々に距離を延ばしていきました。
また、定期的な健康チェックを受けることで、早めに変化に気づき、対応することができました。

高齢者のフレイル予防に必要なサポートは?

経験を通じて感じたのは、家族や地域による継続的なサポートの重要性です。
特に、日々の食事管理や運動の習慣化、社会活動への参加には、周囲のサポートが欠かせません。

父の場合、配食サービスの利用や地域のボランティアによる見守り、そして何より家族による定期的な声かけが、フレイル予防に大きな効果をもたらしました。

まとめ

父のフレイル予防に取り組んだ経験を通じて、予防や改善は決して難しいことではないと実感しました。
大切なのは、早期に気づいて適切な対策を講じることです。

具体的には、バランスの取れた食事、適度な運動、そして社会的な交流を継続的に行うことで、フレイルの予防や改善が可能です。
もし皆さんのご家族の中で、体力の低下や意欲の減退を感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひこの記事で紹介した方法を試していただければと思います。

一人ではなかなか続けられないことも、家族や地域の支援があれば継続できます。
健康的な生活を送るための第一歩として、できることから始めてみましょう。フレイル予防は、決して遅すぎることはありません。

おわりに

今回の記事では、高齢者のフレイルについて話してきましたが、その予防方法の一つとして社会的参加の重要性を挙げました。若者と交流する機会をもつことも、高齢者が健康でいられるようにする方法の一つだといえるでしょう。

日常の中で 高齢者と若者のコミュニケーション・世代間交流の場を設けることができるようにするのが、京大発ベンチャーが開発したサービス『まごとも』です。

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『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。

『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。

ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。

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