今回のお悩み:一人っ子だけど親の介護をしたくない場合 どうすればよいか教えてほしい
今回届いたお悩みはこちらです。
80代後半の母の介護をしてします。
同居はしていませんが 家はそこまで遠くないため、親の要望に応えようとした結果 ほとんど毎日のように実家を訪れて介護しているという状況です。
父はすでに亡くなっており 私自身も一人っ子なので、他に母の介護をすることができる人はいません。
しかし 母の介護以外にも、自分の仕事や子どものことなど やらなければならないことがたくさんあり、忙しすぎて頭がパンクしそうです。
さらに、母の心身の健康状態は悪くなっていくばかりのように感じられて、もう介護を辞めたいです。
どうすればよいでしょうか。
( 60代女性 )
介護には、体力的な負担、経済的負担、終わりが見えない不安、時間の消費など、さまざまな大変な要素がついてまわります。
特に一人っ子である場合や 兄弟で協力できる状況にない場合には、それらの負担を分け合うことができないため 介護へのマイナスな感情が加速してしまう場合が多いようです。
親の介護をしたくなくなってしまったときには どのようにするとよいのか、3人の専門家・実際の介護経験者をお呼びして それぞれの見解をお聞きしました。
① 介護福祉士 武沢さん(51)の視点:介護サービスを上手に活用する

介護の負担が自分だけに集中しないようにする
介護の負担が一人に集中することは、心身ともに大きな負担となります。
特に一人っ子の場合は、「自分がやるしかない」という思いから、必要以上に負担を背負い込んでしまいがちです。
しかし、現在は様々な介護サービスが整備されており、これらを上手に活用することで、介護の負担を大幅に軽減することができます。
まず検討していただきたいのが、訪問介護(ホームヘルプ)です。
食事の準備や掃除、洗濯といった家事援助から、入浴や排泄の介助といった身体介護まで、専門のヘルパーに依頼することができます。
毎日実家に通っている状況であれば、訪問介護を導入することで訪問頻度を減らすことも可能でしょう。
また、デイサービスを利用すれば、日中は施設で母親の介護をお任せすることができます。
デイサービスでは、食事や入浴のサービスだけでなく、レクリエーションなどを通じた他の利用者との交流も期待できるため、母親の社会性を保つことにもつながります。
さらに、ショートステイ(短期入所生活介護)を定期的に利用することで、介護者自身の休息時間を確保することも大切です。
例えば月に数日間、ショートステイを利用することで、自分自身の時間を持ち、リフレッシュすることができます。
老人ホーム入居の可能性を視野に入れる
そして、将来的には特別養護老人ホームなどの施設入所も視野に入れておくとよいでしょう。
「親を施設に入れるなんて…」という気持ちを持つ方も多いようですが、専門的なケアが24時間受けられる環境は、親御さんにとっても良い選択肢となる場合があります。
特に、介護度が上がり在宅介護が難しくなった場合には、積極的に検討する価値があります。
実際に施設入所をするかどうかは別として、このような選択肢があるということを知っておくだけでも、「この先ずっと自分だけが介護を担わなければならない」という重圧から解放され、心に余裕が生まれるかもしれません
② 一人っ子として母親の介護をした家族介護経験者 井上さん(62)の視点:新しい介護の形を探す

介護を「負担」ではなく「親との貴重な時間」と捉える
私も一人っ子として母親の介護を7年間続けてきました。
当初は相談者さんと同じように「もう介護を辞めたい」と思う日々が続き、精神的にも追い詰められていました。
しかし、発想を転換したことで状況が大きく変わりましたので、その経験をお伝えしたいと思います。
最も大きな変化をもたらしたのは、介護を「やらなければならない義務」ではなく「親との貴重な交流の時間」と捉え直したことです。
母が認知症を発症した後、私は「新しい形の親子関係」を模索するようになりました。
例えば、母が若い頃に行きたかったけれど行けなかった場所に一緒に出かけたり、料理が好きだった母と一緒に簡単なお菓子作りをしたりと、単なる介護ではなく「共に楽しむ時間」を作るよう心がけました。
そんなことをする余裕がないから困っているのだ、とおっしゃるかもしれませんが、私自身も当時 介護や家庭のことで忙しくしており、楽しむ時間をもつようにしようとしても 最初はなかなかうまくいきませんでした。
でも、少しずつこのような時間が増えていくうちに、母の表情が明るくなっていくのを感じたのです。
認知症の進行も一時的に緩やかになったような印象さえありました。
そして何より、私自身の気持ちが軽くなりました。「やらなければならないこと」が「やりたいこと」に少しずつ変わっていったのです。
介護は確かに大変ですが、見方を変えれば親子関係を深める最後のチャンスともいえます。
親を介護するという経験は、将来の自分自身の老後についても考えるきっかけとなり、私にとっては貴重な人生の学びの時間となりました。
③ 地域包括支援センター職員 中根さん(48)の視点:相談できる場所や人を見つける

一人で抱え込まず、相談できる場所や人を確保することが重要
一人っ子として親の介護を担う場合、「すべて自分一人でやらなければならない」という思いが強くなりがちです。
しかし、そのような思いは介護者自身を追い詰めるだけでなく、結果的に良い介護につながらないという場合も多いです。
私がお勧めするのは、介護に関して相談できる場所や人を積極的に見つけることです。
① 地域包括支援センター
まず活用していただきたいのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活に関する様々な相談に対応する総合窓口です。
介護サービスの紹介だけでなく、介護者の悩みや不安についても相談に乗ってくれます。
専門家のアドバイスを受けることで、客観的な視点から自分の状況を見直すきっかけになるでしょう。
② 地域の介護相談窓口
また、お住まいの自治体が実施している介護者支援プログラムや介護相談窓口も利用価値があります。
中には、介護者同士が交流できる「介護者カフェ」や「家族会」を開催している自治体もあります。
同じ悩みを持つ人と話すことで、「自分だけではない」という安心感が得られることも多いです。
③ 地域の民生委員・社会福祉協議会など
さらに、地域の民生委員や社会福祉協議会のスタッフなどの相談相手を作っておくことも大切です。
定期的に状況を共有し、必要に応じてアドバイスをもらうことで、介護の負担感が軽減されることがあります。
私はこれまで多くの介護者の相談に乗ってきましたが、「誰にも相談せず一人で抱え込んでいた」という方が、相談することで道が開けたケースを数多く見てきました。
介護は一人でするものではありません。
自分の親とはいえ、他の人にも支えてもらいながら介護をしていけばいいのだ いう意識を持ち、様々な相談先や支援を活用することで、「一人っ子だから自分一人で何とかしなければ」という思いから解放されてください。
まとめ
今回は、一人っ子として親の介護をしたくない場合の対処法について、3人の専門家・介護経験者の視点からご紹介しました。
介護サービスを上手に活用して負担を分散させる方法、介護を義務ではなく親との貴重な時間として捉え直す発想の転換、そして一人で抱え込まずに相談できる場所や人を見つけることの重要性について解説していただきました。
介護は長期にわたるものであり、その道のりは決して平坦ではありません。
しかし、適切な支援を受けながら、自分自身のケアも怠らずに取り組むことで、よりよい介護生活を送ることができるでしょう。
最後に、「親の介護をしたくない」と感じることは決して恥ずべきことではありません。
むしろ、自分の限界を認識し、助けを求めることは、自分自身のためにも、親のためにも重要なことです。
介護の負担に押しつぶされそうになったら、今回ご紹介した方法を試してみてください。
あなたが元気でいることが、よい介護の第一歩なのです。
おわりに ~まごとも利用のすすめ

今回は、一人っ子が親の介護をしたくないときの対処法を、3人の専門家・実際の介護経験者の視点からご紹介してきました。
介護福祉士の武沢さんは 介護サービスを上手に活用することをすすめていましたが、最後に、高齢の親と過ごす時間を分担したり、高齢の親に元気になってもらうための選択肢の一つとして、大学生が高齢者の自宅に訪問し、楽しい時間を過ごしたり定期的な見守りを行ったりするという京大発ベンチャーが開発したサービス、『まごとも』をご紹介します。
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『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。
『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。
ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。
また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。
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