- 「久しぶりに実家に帰ったら、母の物忘れが増えていて心配」
- 「電話をしても同じ話ばかりで、不安になる…」
親が独居老人として一人暮らしをしていると、上記のような不安や心配が尽きません。本人は「まだ大丈夫」と言っていても、見えないリスクや今後の生活が気になりますよね。
本記事では、独居老人の親を心配に思っているあなたに向けて、高齢者の一人暮らしで想定されるリスクや、よくある悩み、さらにはおすすめのサービスや相談先を解説します。最後には今すぐできるアクションまで、専門的な視点と実践的なアドバイスでわかりやすく紹介しているので、あなたのお役に立つこと間違いなしです。
不安を感じている今こそ、できることから始めてみませんか?
そもそも独居老人とは?
独居老人とは、65歳以上で家族や他の同居者がいない高齢者を指します。
配偶者との死別や子どもの独立などで一人暮らしになり、地域や親戚とのつながりも希薄になりがちです。また、自由な生活を楽しむ一方で、日常の困りごとや孤独感を抱えやすいのが特徴です。
特に子世代から見ると、親の「まだ大丈夫」という言葉に安心してしまいがちですが、実際にはサポートが必要なケースも多いです。
日本の独居老人の現状
日本の独居老人は年々増加しており、2020年時点で65歳以上の単身世帯は681万世帯にのぼり、全世帯の14.6%を占めています。今後も高齢化の進行とともに増え続け、2040年には896万人に達すると言われています。特に都市部では、近隣との交流が少なく、孤立しやすい傾向があります。
物忘れや認知症の初期症状は家族が気づきやすいものの、本人は自覚しにくいため、周囲の見守りや早めの対応が重要です。
老人の一人暮らしはどんなリスクがある?
老人の一人暮らしにはどんなリスクがあるのでしょうか。ここでは、以下の3つを解説します。
- 社会的に孤立してしまう
- 病気や怪我の際の発見が遅れる
- 詐欺のような犯罪に巻き込まれやすくなる
【リスク①】社会的に孤立してしまう
独居老人は、家族や友人との交流が減りやすく、社会的に孤立しやすい状況にあります。
孤立が進むと、気軽に悩みを相談できる相手がいなくなり、精神的な負担が増加します。孤独感からうつ病や認知症のリスクも高まるため、家族としては「最近、親が人と会っているか」「趣味や地域活動に参加しているか」を確認することが大切。
孤立を防ぐには、地域のサロンや交流イベント、電話やオンラインでの定期的なコミュニケーションが効果的です。
【リスク②】病気や怪我の際の発見が遅れる
一人暮らしの高齢者は、急な体調不良や転倒事故、あるいは災害が起きた際に、発見や救助が遅れるリスクがあります。
特に認知症の初期症状がある場合、異変に気付いても自分で助けを呼べないことも。発見が遅れると、症状が重くなったり、命に関わる事態にもつながります。
家族ができるのは、定期的な電話やLINEでの安否確認、見守りサービスや緊急通報装置の導入を検討すること。早めの対策で命を守ることができます。
【リスク③】詐欺のような犯罪に巻き込まれやすくなる
独居老人は、還付金詐欺やオレオレ詐欺などの犯罪に巻き込まれやすい傾向があります。
家族や周囲の目が届きにくいことで、被害が発覚しにくく、被害額が大きくなるケースも少なくありません。対策として、日頃から親に最新の詐欺情報を伝えたり、定期的に「変な電話や訪問はなかったか」確認することが大切です。必要に応じて自治体の防犯講座を活用したり、電話の際の合言葉を決めたりしておきましょう。
独居老人が抱えがちな悩み3選
家族に心配されても、「まだ大丈夫」と言いがちな独居老人。しかし、実際は悩みを抱えているケースが多いです。
ここでは、高齢者本人がなかなか口にしない、一人暮らしの悩みを3つ解説します。
- 話し相手がいなくてさみしい
- 生活が不便
- お金に関する不安
悩み① 話し相手がいなくてさみしい
独居老人の多くが「話し相手がいない」「誰とも会話しない日が増えた」と感じています。
特に子世代が忙しく、なかなか実家に帰れない場合、親は孤独を感じがちです。会話の機会が減ると、気持ちが沈みやすくなり、うつ病や認知症のリスクも高まります。
娘さんができることは、定期的な電話やビデオ通話、写真を送るなどが挙げられます。忙しい方も、一日数分でもいいので、コミュニケーションを取る時間を増やしましょう。
悩み② 生活が不便
高齢になると、買い物や掃除、通院など日常生活のあらゆる場面で不便を感じることが増えます。
特に物忘れが増えてくると、食事を何回も食べる、ゴミを出し忘れるなど、生活の質が下がる原因になります。娘さんとしては、親の生活の様子をよく観察し、困っていそうなことを一緒にリストアップしてみましょう。
困りごとがわかったら、行政や民間の家事代行、配食サービス、買い物代行などを活用して、親の負担を大きく減らすことができます。
悩み③ お金に関する不安
独居老人の多くが「年金だけで生活できるか」「将来の医療費や介護費用が心配」といった経済的不安を抱えています。
特に一人暮らしの場合、家計管理や詐欺被害のリスクも高まります。娘さんは、親と一緒に家計の見直しや、必要な支援制度(高齢者向けの給付金や減免制度)の確認をしてみましょう。また、信頼できる第三者(行政書士や地域包括支援センター)に相談することで、親のお金の不安を減らすことができます。
老人の一人暮らしを支えるサービス
ここまで解説したように、高齢者の一人暮らしはリスクも多く、対策が必要です。そこで、独居老人をサポートするサービスを3つ紹介します。
- 行政や自治体のサービス
- 介護サービス
- 民間のサービス
行政や自治体のサービス
行政や自治体は、独居老人のためにさまざまな支援サービスを用意しています。
定期的な安否確認や配食サービス、外出支援、住宅改修の補助などが代表的です。娘さんができることは、親の住む地域のサービス内容を調べ、必要に応じて申し込みをサポートすることです。地域包括支援センターや高齢者福祉課に相談すれば、親の状況に合ったサービスを提案してもらえます。まずは情報収集から始めましょう。
介護サービス
介護保険を利用すれば、訪問介護やデイサービス、訪問リハビリなど、日常生活を支えるサービスを受けられます。身体介護だけでなく、レクリエーションや交流の場も提供され、親の心身の健康維持に役立ちます。
親の様子を見て「そろそろ介護サービスが必要かも」と感じたら、地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャーと連携して最適なサービスを選びましょう。
民間のサービス
民間企業も、独居老人向けの家事代行や見守りサービス、配食サービス、緊急通報装置の設置など、多様なサービスを展開しています。行政サービスと組み合わせて利用することで、より安心・快適な生活が実現できます。
娘さんが忙しくて頻繁に実家に通えない場合も、民間サービスを活用すれば、親の生活をしっかりサポートできます。費用やサービス内容を比較し、親に合ったものを選ぶのがポイントです。
独居老人の日常生活サポートにおすすめの民間サービス「まごとも」
独居老人の日常生活サポートにおすすめの民間サービスが、『まごとも』です。
『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレット使用の支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。
『まごとも』の若者との交流を通して、高齢者は精神面での活力を受け取り、生きる喜びや目的を見出せるため、積極的に行動を起こせるようになります。
一人で暮らす高齢者のご家族のあなた、ぜひ『まごとも』を利用してみませんか?もっとまごともについて知りたいと思った方は、ぜひ公式ホームページをご覧ください。類似サービスとの違いや、気になる料金、よくある質問などが詳しく記載されています。
なお、独居老人の見守りサービスについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。気になる方は、ぜひこちらもご覧ください。
独居老人についての相談先
独居老人についての悩み事は、ご家族だけで解決できないことも多いです。そのため、以下のような相談先を知っておき、各種サービスと合わせて利用することが重要です。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の生活全般に関する相談窓口です。介護や福祉、健康、権利擁護など幅広いサポートを受けられます。親の物忘れや生活の変化が気になったら、まずはここに相談してみましょう。
専門職が状況を聞き取り、必要なサービスや医療機関との連携を提案してくれます。ご家族が一緒に相談に行くことで、親も安心して話を聞けます。
市区町村の高齢者福祉課・福祉事務所
市区町村の高齢者福祉課や福祉事務所でも、生活支援や介護サービスの相談、経済的な支援制度の案内などが受けられます。
手続きや申請のサポートもしてくれるので、こちらもご家族が同行してあげるようにしましょう。
一人暮らしの限界はいつ?
高齢者がいつまで一人暮らしを続けられるかは、個人差が大きく、一概には言えません。
しかし、以下のようなサインが見られるようになったときは、一人暮らしの限界が近づいているかもしれないと考えるタイミングかもしれません。
認知症の症状が現れ始めたとき
物忘れが増えたり、同じことを何度も質問したりするようになった場合は注意が必要です。
特に、火の消し忘れ、服薬管理ができなくなる、金銭管理に混乱が見られるなどの症状は、一人暮らしの安全に関わる重大なサインです。
身体機能の低下が顕著になったとき
入院をきっかけに急激に体力が落ちた、歩行に杖や歩行器が必要になった、頻繁に転倒するようになったなどの場合、一人での生活に危険が伴うことがあります。
特に階段の上り下りや入浴などの動作が困難になると、事故のリスクが高まります。
日常生活の管理が難しくなったとき
食事の準備が億劫になり、栄養が偏っている、掃除や洗濯がおろそかになり衛生状態が悪化している、光熱費や家賃の支払いを忘れるなど、生活管理面での問題が出てきたときも注意が必要です。
社会的な意欲の低下が見られるとき
外出の機会が減り、閉じこもりがちになる、趣味や楽しみを感じなくなる、電話に出なくなるなど、社会との接点を自ら減らしていく様子が見られる場合も要注意です。
厚生労働省の資料によると、令和元年時点での健康寿命は男性が72.68歳、女性は75.38歳となっています。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を示したもので、これも一人暮らしの限界を考える一つの目安になるかもしれません。
一人暮らしに区切りをつけた後の選択肢
一人暮らしが難しくなった場合の選択肢として、まず思い浮かぶのは「家族との同居」でしょう。
しかし、介護や見守りを目的とした同居は、介護する側もされる側も双方にとって大きな負担となる可能性があります。
家族関係の悪化を招くケースも少なくないため、慎重な検討が必要です。
同居以外にも、高齢者の状況に応じた様々な住まいの選択肢があります。
認知症がある場合
認知症の症状がある場合は、専門的なケアが受けられる「グループホーム」や、手厚い介護体制がある「介護付き有料老人ホーム」が適しています。
グループホームは少人数の家庭的な環境で、認知症ケアの専門家によるサポートが受けられます。
介護付き有料老人ホームは24時間体制で介護職員が常駐しており、安全面での配慮が充実しています。
身体機能の低下がある場合
杖や歩行器を使用するなど、歩行に不安がある場合は、バリアフリー設計の「介護付き有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」が選択肢になります。
これらの施設は段差がなく、手すりが設置され、緊急時のコールシステムも整っているため、身体機能が低下しても安全に生活できる環境が整っています。
将来に備えて早めの住み替えを検討する場合
現在は自力での生活に大きな支障はないが、将来に備えて安心できる住まいに移りたい場合は、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「シニア向け分譲マンション」が適しています。
これらは自立した生活を前提としながらも、緊急時の対応や生活相談などのサービスが利用できる点が特徴です。
各施設の特徴とコスト 施設選びにおいては、提供されるサービスの内容だけでなく、費用面も重要なポイントです。
- グループホーム
入居一時金は一般的になく、月額費用は15万円前後が多いですが、介護保険の自己負担分を含みます。認知症の方のためのケアに特化していますが、入居待ちの場合も多いです。 - 介護付き有料老人ホーム
入居一時金が0円〜数千万円と幅広く、月額費用も10万円台〜30万円台と施設によって大きく異なります。24時間の介護体制が整っている反面、コストが高めという特徴があります。 - 住宅型有料老人ホーム
入居一時金は比較的低めか不要の場合が多く、月額費用は10万円台が中心です。必要に応じて外部の介護サービスを利用する形となります。 - サービス付き高齢者向け住宅
入居一時金は施設により様々で、月額費用は10万円前後が多いです。生活相談や安否確認などの基本的なサービスがついている一方、介護が必要になった場合は外部サービスを利用することになります。
独居老人の家族は何をしたらいいの?
独居老人の娘さんや息子さんがまずやるべきことは、定期的な連絡や訪問で親の様子を見守り、孤立や異変を早期にキャッチすることです。
親が「まだ大丈夫」と言っていても、心配な点があれば、行政や専門家に相談し、必要なサービスを積極的に利用しましょう。緊急時の連絡体制や、親が困った時に頼れる人・場所を一緒に確認しておくことも大切です。家族が積極的に関わることで、親の安心・安全な暮らしを守ることができます。
まとめ:今すぐできる「次の一歩」
親の独居に不安を感じたら、まずは「気になることをメモする」「地域包括支援センターや自治体に相談する」「必要なサービスを調べて申し込む」など、できることから始めてみましょう。あなたの行動が、親の安心・安全な暮らしにつながります。不安を一人で抱え込まず、専門家やサービスを上手に活用してください。