現代は寿命が長くなりましたね。80歳、90歳の人も珍しくなくなりました。また子どもが多いのが普通で、子ども世代が親世代の面倒を見るのは当たり前と思われていました。
しかし、高齢化が進み、少子化が進む中、以前と同じような親孝行は無理になっています。超高齢化社会では、親世代の世話をして親孝行をするべき子世代は、すでに自分自身が高齢者になってしまう例が多いのです。また、一人っ子や兄弟が少ない人は、高齢の両親をどうやって面倒を見ようかと悩むことにもなります。
ここでは、超高齢化社会、少子化傾向の中でどうしたら無理なく親孝行ができるか、新しい親孝行のかたちを考えてみましょう。
基本方針は?
新しい親孝行のかたちを考えるなら、親子ともにできる限り自立しつつ、協力し、双方が気持ち良く過ごすことができるようにするのがポイントです。
親世代か子世代のどちらかが、一方的に我慢を強いられるようでは、長期間良い関係を保つことはできません。最近は親世代の人たちも、全面的に子供に頼りたいと思う人は少なくなりました。高齢になっても、できることは自分でし、子どもに迷惑をかけたくないと考えるようになったからです。
また、子どもでなくて、ヘルパーさんを頼むなど、公的援助を頼めるようになりました。ですから、そうしたサービスを受けることも選択肢の一つになりました。一方子ども世代は共働きが多くなり、どちらかが、一日中親の世話をするということは難しくなっています。
「子どもは親の面倒をみて、親孝行をするのは当たり前。」
「子どもは無理をしてでも親の面倒を見なければならない。でもそうできないから後ろめたい。」などという古い考えは捨てましょう。できれば、親世代がまだ判断がしっかりしているうちに、将来的に子どもたちにどんなことをして欲しいと思っているのか、子どもはどれくらいのお世話ができそうか話し合うことができれば理想的です。
親世代が元気なうちにしたいこと
親世代がまだ元気で、自立している場合は、ほとんど問題はありません。子世代が親孝行をしたいと思うなら、次のようなことに気を付けたいですね。
・親世代ができることは積極的にやってもらう
最近は親世代の人は割合元気で、定年を迎えてもまだまだ、アルバイトの仕事をしたり、テニスやゴルフを楽しんだりするような人がたくさんいます。また女性も、趣味の会やボランティア、コーラスや水泳に励んでいる人もいます。
親世代の人が、元気で活動的ならば、本当にありがたいことです。子ども世代は、やたらとそのような活動を批判したり、やめさせたりすることはありません。
むしろ、運転免許を返上したお父さんのために、送迎をかって出るような側面からの協力ができれば、喜ばれます。協力と言うほどではなくても、趣味の会の発表会や展覧会などを見に行ってあげるのも立派な親孝行です。
親の活動に子どもたちが関心を持っているということは親にとっては嬉しいことなのです。
・親がやりたいことを手助けする
親世代が元気でいろいろな活動をするのはいいことです。ただし、年齢のために難しくなることもありますね。そうした面でちょっとした手伝いをすることができたら幸いです。ある女性は、両親とは離れて遠方に住んでいます。
しかし、パッチワークをするのが趣味のおばあちゃんのために、時々材料になる布を買い集めて送ってあげています。竹細工が得意なおじいちゃんのために、息子さんが竹を集めに行っている例もあります。私の父は高齢になっても動物園に行くのが好きでした。私は「年配者が動物園へ行くのはおかしいのではないか。」と思った時期もありました。
でも、父が道を忘れるようになってから、車で動物園に連れて行ったところ、とても喜ばれました。「老人は温泉旅行に行くのがせいぜいだ。」と決めつけることなく、その人が好きなことを手助けすることの方が大事だと分かりました。
・時には連絡を取り合う
子どもが親から離れて遠方に住んでいる場合は、時々電話をして、近況を知らせ合うことも大事な親孝行です。ある中年男性は、遠くに住む一人暮らしのお母さんのことが気にかかっていました。電話をしなくちゃと思うのですが、毎週となると話題がなくて、困っていました。
「お母さん、元気?」「ええ、大丈夫よ。」ならいいけれど、それ以上に話が進まないのです。「ちょっと具合が悪くてね。」と言われるとなおさら、困ってしまうのです。「それじゃ、明日手伝いに行くよ。」と言えるほど近くないし、「でも頑張ってね。」とも言えないわけです。
たまたま、この男性はお母さんがボランティア活動に精を出していることを思い出しました。「自分もそろそろ定年になるし、やることもないとつまらないだろうから、ボランティアでもやってみるかな。」と思ったのです。
彼は、まだ現役なので週末だけですが、公園の掃除や子どもの勉強を見てあげるようなボランティアに参加してみると、案外面白いことが分かりました。お母さんに電話をすると、「今週は何をした?」「小さい子の遊び相手よ。」「面白そうだね。」というように話が弾むようになりました。
お母さんに電話をするのが楽しみになったのです。お母さんの方も息子さんと自分の活動の話ができるのでとても張り合いができたそうです。
お互いにちょっとした共通の話題を作ることは親孝行につながるのですね。
・両親を招く
両親が比較的元気で家事もこなしているときは、子世代はお正月やお盆休みに田舎を訪ねることはよくあることですね。
しかし、子世代の人が、正月に実家に帰る代わりに、自分たちの家に両親を招待している例があります。高齢の両親の場合、帰省する子ども一家をもてなすのは、だんだん負担になります。
それで、子ども一家が、ご両親に列車の指定席券を送って、上京してもらうことを毎年の年末行事にしているのです。これは良いアイディアですね。
数日間でも両親にゆっくり静養させてあげるのはとても良い親孝行です。
・苦手なことを手伝う
親世代が元気でも苦手なことはありますね。そういうところを手伝ってあげるのも親孝行の一つのやり方でしょう。例えば、高齢の両親はパソコンやスマホを使うのに慣れていないですね。使い方が分からないなら、「何度でも」教えてあげる。この「何度でも」というところが大事です。
高齢になると新しいことを覚えるのはとても大変です。「この間教えたでしょ!」ではなく、「もう一度覚えよう!」という感覚でやさしく教えてあげられたらいいですね。
それでも、インターネットを使うのは無理ならば、代わりにネット通販を頼んであげる、乗り物の切符を予約してあげるというのもありです。親世代は経験によって知っていることを子ども世代に教えて知恵をつけてあげる。
そして、子世代は親世代の苦手な新しいことを手助けするという相互扶助の関係になれたら最高ですね。
親世代の健康その他に不安が出てきたら
親世代が元気なうちはいいのですが、高齢になって健康上の不安が出てきたり、認知症の疑いが出てきたりすると事態は変わります。少なくとも、両親のうち一人が健康で元気ならある程度カバーできるし、連絡をしてくることもあるでしょう。
問題は、一人暮らしの高齢者が不調に陥った場合は、連絡することもままならないということです。子世代の人は、親世代がある程度の年齢になったら、健康状態は良いか、認知症の傾向はないか、けがなどのアクシデントはないかなど、気を配る必要があります。
同居しているなら、ちょっと注意して日々の様子を観察しているうちに、親世代の人たちに変わったことがないかを判断することができます。別居しているなら、電話をして様子を聞くのが簡単ですが、ただ聞き流すのではなく本当に大丈夫か確かめることは重要です。
親世代の人は「○○で困っているから、手伝いに来てね。」と言えない人が多いです。例えば、「暑くなったのに、まだこたつをしまえないでいるのよ。」と言われたら、家の掃除や片付けに行った方がよさそうだと判断するのは当たっています。
「この間、家の前の砂利道でころんだら、30分も起き上がれなくて、近所の人に手を借りてやっと立ち上がれたのよ。」と言われたら、そろそろ見守りが必要になったのだということを察知するべきですね。
つじつまの合わないことを言い出したら要注意です。
訪ねて行っても、電話で話していても、当然知っているはずのことをすっかり忘れたり、つじつまの合わないことを話したりするようになったら、認知症を考えてみましょう。60代ぐらいの人でも認知症を発症することはあります。
自分の子どもの年齢を忘れる、親が他界したことを覚えていないなど普通ではありえないことを言い出したら、認知症かもしれません。「そうじゃないでしょ!」ときつくとがめるよりも、「○○君はもう45歳ですよ。お父さんは10年前に亡くなったでしょう。」と教えてあげるのがいいですね。
子世代にできることは何か?
親世代に健康上の不安や認知症の疑いが出て来たら、子世代は何をしたらいいのでしょうか?先のようにまずはその状況をよく把握することが先決ですね。
親世代に衰えが見え始めたと言っても、基本はお互いにできる限り自立することが大事です。やたらと全部のことをしてあげたのでは、親世代は自由を奪われたとか、自分のしたいことができないという不満が残ります。
側面から出来なくなっていることを支援するのがいいですね。病院や趣味の会に行くときには送迎をするとか、重い荷物を運ぶのを手伝うとか、大掃除をしてあげるなどできることはたくさんあります。
また一日中一人でいる高齢者のためには、時々訪ねたり、電話でおしゃべりしたりすることだって立派な親孝行です。認知症の傾向が出始めたら、よく観察して、生活に支障が出るようなことはないかを確かめておきたいです。
支障が出始めたら、病院を受診し投薬を受けるなり、認知症の認定を受けてデイサービスを受けるようにするなど、何らかの支援をしたいところです。子世代もまだ現役で働いているなら、全部をカバーすることは無理ですから、自分で出来ることをするのが原則ですね。
親世代に全面的な支援が必要になったら
親世代が病気や加齢のために、寝込んでしまった。あるいは、一人では歩くのも難しくなった場合は、全面的な支援が必要です。子世代が同居していたとしても、動けない高齢者を一人で世話をするのは並大抵なことではありません。
特に共働きをしている人なら、日中誰もいないところに、おじいちゃんやおばあちゃんを残して出勤しなくてはなりません。まして、遠くに住んでいる場合は、週に一度手伝いに行くぐらいがせいぜいでしょう。
思い切ってホームに入居してもらうのは一つの方法ですが、本人が「家にいたい。」と主張することはよくある話です。家族も高齢の親をホームに入れるのは忍びないと思って、無理をして一人でお世話をしている人はいます。
私の友人にも一人で高齢のお母さんを10年以上お世話した人がいます。お母さんが病院やホームをとても嫌がったので、実の娘である友人が家で看病しました。
しかし、お母さんの体を持ち上げたり、トイレに連れて行ったり、お風呂に入れるなどの力仕事を長年続けた結果、友人はお母さんが亡くなった後も、足、腰、膝などを傷めて後遺症に悩まされ続けています。そうなると無理をして親孝行をしたことが、その人の後の人生をゆがめてしまう危険性もあるわけです。
親孝行するにしても、無理をして後に影響が残っては何にもなりません。
みんなが無理なく協力して介護するには?
子ども世代が無理をせずに、できるだけ親世代が安らかに老後を過ごせるようにするには、複数の人で介護をすることがポイントです。まずは同居しているあるいは近くに住んでいる人がお世話をできれば簡単です。
しかし、他に兄弟がいるなら、あるいは親戚でも手伝いに来てくれるような人がいるなら、お願いするのが近道です。「遠くに住んでいるので、介護なんかとても無理です。」と言う人でも、介護に必要な費用を半切することはできます。
兄弟がいない人は、積極的にヘルパーさんを頼むことで人手を確保することはできます。
とにかく、一人で抱え込まないことがコツです。
私の親戚にもご主人が奥さんの介護をしている人がいました。
奥さんの病状が進んでからは、二人の嫁と自分の娘、それに引退した看護師さんの知り合いをアルバイトとして雇い、4人でローテーションを組んで毎日お世話をしました。
奥さんの病気が進み、病院に入院するまでの3~4年間はその形で看病していました。
4人の人が分担できたので長期にわたり十分なお世話ができたのです。
多分子ども一人ではそれだけの親孝行はできなかったでしょう。
家族以外に協力を求めるのはどうか
昔風の親世代は、「他人が自分の家に入ってくるのは嫌だ。」という人がいますね。
しかし、これは時代遅れの考え方です。
大家族だった一昔前なら、家族だけでも家事、育児、介護もできたでしょうが、現代はそういう家はほとんどありません。奥さん一人が全部を担うのは無理なのです。
ご両親の願いは理解しつつも、現実には「ヘルパーさんをお願いしなければ、とてもやっていけないこと。介護についても専門的知識のある人に任せた方がスムーズにいくこと。」を懇切丁寧に説明するのがいいですね。
多少認知症の傾向のあるおじいちゃん、おばあちゃんなら、「私も一緒に付き添いますから。」と言って安心させるのもいいでしょう。私の義父母もヘルパーさんを入れることには抵抗があったようです。
でも、だんだんできないことが増えて、特におばあちゃんは一人でトイレに行くのも難しくなりました。私は、腰痛持ちなのに加えて、背骨を傷めてしまったことがありました。病院へ行くと、「重い物を持たないように。」と言われました。
そこで、義父に「『私はお医者さんに重い物を持たないように』と言われました。ですから週一日でもいいので、ヘルパーさんを入れてください。」と頼みました。
さすがに義父も「お医者さんに言われた」と聞いて、ヘルパーさんを入れることに同意してくれました。親世代の人に介護が必要になっても、親も子どもも快適に過ごせるようにすることが、長く親孝行を続ける秘訣ですね。
実例から学ぶ
親孝行にはいくつものやり方がありますが、次の実例は参考になります。
Aさんの例
Aさんは40代の女性で東京在住の働く主婦です。70代の両親は関西地方で二人暮らしをしていましたが、健康上の不安があって二人だけの暮らしは難しくなりました。
Aさんは一人娘なので、他に両親の世話を任せられる人がいません。Aさんは両親とも相談のうえで、自分の家に近いところにバリアフリーのアパートを探しました。
幸い、自宅と駅に近いところに良い物件が見つかり、両親は引っ越して来ました。両親はまだ年代的にはそれほど高齢ではなく、特にお母さんは以前1年ほど東京暮らしをしたことがあったので、東京の生活にも慣れて、デイサービスを利用しながら元気に過ごしています。
Aさんも手伝うことがあるとすぐに駆け付けることができるので、気持ちが楽になりました。
Bさんの例
Bさんは東京在住のバリバリの商社マンでした。京都で一人暮らしをする高齢のお母さんのことは心配でしたが、すぐそばに住む長兄がよく世話をしてくれるので、お母さんを時々訪ねるぐらいですんでいました。
ところが、その頼りになるお兄さんが急死するという事態に陥り大ピンチとなりました。お母さんは長年住み慣れた京都を離れることを嫌がりました。
Bさんの家族も生活基盤がある東京を離れる決心がつかず、Bさんは商社を早期退職して、お母さんの介護に通うことになりました。Bさんは、月に1回京都の実家を訪れ、約1週間、掃除や洗濯、買い物、家の手入れなどお母さん一人では無理なことをまとめて手伝うということをルーティーンにしています。
Bさんはこれから先、お母さんにもっと介護が必要になったらどうしようかなと思案中です。現在のところはお母さんも、自分やその家族も上手くやっているので、Bさんはこの形を長く続けられたらと思っています。
Cさんの例
Cさんは2人兄弟の長男ですが、高齢のお母さんが一人暮らしをしています。お母さんは年が進むにつれて一人暮らしが難しくなり、特に夜一人にしておくのは不安な状況になりました。
幸い、お母さんと二人の息子さんは電車を使って1時間半以内のところに住んでいたので、長男、次男、その奥さん2人がローテーションを組んで、一人ずつ実家に泊まりに行くことにしました。長男と次男はまだ現役で働いていたので、時間的には厳しく、どうしても二人の奥さんが代役を果たすことが多かったですが、それでも4人でできるだけ平等に泊まりに行きました。
その日の出来事やお母さんの様子などをノートに書き込んで次の人に伝えるようにして、連絡を取り合い、かなり長い間この形で介護をしました。お母さんもお嫁さんだけでなく、息子さん自身も訪ねてくれるので、家族が来るのを楽しみにしていました。
新しい親孝行のかたちには、いくつものやり方があることが分かります。
その家の状況に合わせて一番良いと思われる方法を考えてください。
まとめ
本記事では、これからの時代、ビジネスケアラーがどのように親の介護をしていくかまとめてみました。
ただし、自分たちの力だけでは、親御さん達の満足のいくような介護が難しいこともあるでしょう。
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