フルタイムで働きながら親の介護をしている方の多くが、「自分の時間がない」「ストレスで限界」と感じているのではないでしょうか。親を大切に思う気持ちと、自分の生活を守りたい気持ちの間で揺れ動くのは、決して身勝手なことではありません。

この記事では、介護と自分の生活を両立させるための具体的な方法と、活用できる制度やサービスについて詳しく解説します。一人で抱え込まず、周囲のサポートを上手に活用しながら、持続可能な介護を実現していきましょう。

親の介護で自分の時間がない…よくある悩みと現実

介護を始めたばかりの方が直面する共通の悩みや、なぜ一人で抱え込んでしまうのかについて詳しく見ていきます。これらの悩みは決して特別なものではなく、多くの介護者が経験している現実です。

働きながら介護をする人の実情

総務省の就業構造基本調査によると、家族の介護をしながら働いている人は約300万人にのぼります。その多くが40~50代の働き盛りの世代で、仕事の責任も重く、プライベートでも多忙な時期に介護が重なることが珍しくありません。

朝は早起きして親の身支度を手伝い、仕事を終えると急いで帰宅して食事の準備や入浴介助を行います。夜遅くまで続く介護業務で、自分の時間はほとんど取れない状況に陥ってしまうのです。

このような状況は、介護者の身体的・精神的な負担を大幅に増加させ、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。

介護疲れで感じる罪悪感とストレス

「親のためなのに、なぜこんなにイライラしてしまうのか」「もっと優しくできないのか」といった罪悪感に苛まれる方は少なくありません。しかし、これは決して異常なことではありません。

介護による身体的・精神的な負担は想像以上に大きく、疲労やストレスが蓄積すると感情のコントロールが難しくなるのは自然な反応です。自分を責める必要はありません。

この罪悪感が更なるストレスを生み出し、悪循環に陥ってしまうケースも多く見られます。まずは自分の感情を受け入れ、それが正常な反応であることを理解することが大切です。

一人で抱え込んでしまう理由

「親の面倒は子どもが見るべき」「他人に頼むのは申し訳ない」といった思い込みから、一人で全てを背負い込んでしまうケースが多く見られます。また、兄弟姉妹がいても、距離や仕事の都合で自分だけに負担が集中してしまうこともあります。

日本の文化的背景として、家族の問題は家族内で解決すべきという価値観が根強く残っていることも、この傾向を強めています。しかし、現代の介護は複雑で専門性が高く、一人や一つの家族だけで対応するには限界があります。

適切な支援を受けることで、親にとってもより良いケアを提供でき、あなた自身の生活も守ることができるのです。

親の介護が急に始まった時の3つの確認ポイント

突然介護が必要になった時は、慌てずに段階的に対応することが重要です。ここでは、介護が急に始まった時に最初にすべきことと、活用できる相談窓口や制度について詳しく説明します。

親の介護が急に必要になった時は、感情的になりがちですが、まず冷静に現状を把握することが大切です。

1. 親の現在の状態と必要な介護レベルの把握

日常生活でどの程度の支援が必要か、医師の診断書や看護師の意見を参考に客観的に評価しましょう。歩行状態、認知機能、日常生活動作の自立度などを具体的に把握することで、必要なサービスや支援の内容が見えてきます。

2. 利用できる保険や制度の確認

介護保険の申請状況、医療保険の内容、自治体の支援制度などを調べることで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。

3. 家族の協力体制の構築

兄弟姉妹や親族がどの程度協力できるか、早めに話し合いの場を設けることで、一人に負担が集中することを避けられます。

地域包括支援センターへの相談方法

地域包括支援センターは、介護に関する総合的な相談窓口として、各市区町村に設置されている公的な機関です。介護の専門職が常駐しており、様々なサポートを無料で受けることができます。

このセンターでは、介護保険の申請手続きのサポートから始まり、適切なサービス事業者の紹介、家族の悩み相談、地域の支援制度の情報提供まで、幅広い支援を行っています。

お住まいの地域の地域包括支援センターは、市区町村のホームページで確認できます。電話での相談も可能なので、まずは気軽に連絡してみましょう。相談は無料で、秘密も厳守されるため、安心して利用できます。

要介護認定の申請手続き

介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。この認定は、親の介護度を客観的に評価し、利用できるサービスの種類や量を決定する重要な手続きです。

申請から認定まで約1ヶ月かかるため、早めの手続きが重要です。申請に必要な書類として、要介護認定申請書、介護保険被保険者証、医師の意見書(主治医に依頼)が必要になります。

申請は本人だけでなく、家族や地域包括支援センター、居宅介護支援事業者が代行することも可能です。忙しい中でも確実に手続きを進めるために、代行サービスを積極的に活用しましょう。

介護と仕事・自分の生活を両立させる基本的な考え方

介護を長期間継続するためには、まず考え方を整理することが重要です。ここでは、無理なく持続可能な介護を実現するための基本的な心構えについて詳しく解説します。

完璧を求めすぎない心構え

介護に「正解」はありません。親の状態や家族の事情は常に変化するため、その時々でベストと思われる対応をすることが大切です。毎日完璧にこなそうとすると、必ず疲れ果ててしまいます。

「今日できることをする」「60点でも十分」という心構えで、無理のない範囲で続けることが重要です。完璧を目指すよりも、継続することの方がはるかに価値があります。

また、介護は日々の小さな積み重ねです。一日一日を大切にしながらも、長期的な視点で取り組むことで、精神的な負担を軽減することができます。

介護は一人でするものではないという認識

現代の介護は、医療、福祉、地域社会が連携して支える仕組みになっています。介護は家族全体で取り組むものであり、専門職や地域のサポートを活用するのが当然のことです。

「人に頼る」ことに罪悪感を持つ必要はありません。むしろ、適切な支援を受けることで、親により良いケアを提供できるようになります。専門職の知識や技術を活用することで、家族だけでは気づかない問題点や改善点を発見できる場合もあります。

チームで介護を行うことで、一人ひとりの負担が軽減され、それぞれが得意な分野で力を発揮できるようになります。

自分の生活を守ることの重要性

介護者が倒れてしまっては、結果的に親にも迷惑をかけることになります。自分の健康や生活を守ることは、長期的な介護を継続するために不可欠です。

「自分の時間を持つこと」「趣味や友人との時間を大切にすること」は決してわがままではなく、持続可能な介護のための必要な投資なのです。自分がリフレッシュすることで、より良い介護を提供できるようになります。

また、自分の人生も大切にすることが、最終的には親の願いでもあることを忘れてはいけません。親は子どもに自分らしい人生を歩んでほしいと願っているはずです。

頼れる介護制度とサービスの活用法

介護保険制度や地域の支援制度を理解し、適切に活用することで、介護の負担を大幅に軽減できます。ここでは、主要なサービスの種類と特徴、効果的な活用方法について詳しく説明します。

訪問介護・訪問看護

訪問介護(ホームヘルプサービス)では、ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行います。身体介護には入浴、排泄、食事の介助などが含まれ、生活援助では掃除、洗濯、買い物、調理などのサポートを受けられます。

訪問看護では、看護師が自宅を訪問し、健康状態の観察、服薬管理、医療機器の管理、リハビリテーションなど、医療的なケアを提供します。医師の指示に基づいた専門的なケアを受けられるため、在宅での療養生活を安心して続けることができます。

これらのサービスは、親の自立度に合わせてカスタマイズでき、必要な時に必要な分だけ利用することが可能です。

デイサービス・デイケア

デイサービス(通所介護)は、日中、施設で入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受けられる制度です。親の社会参加にもつながり、同時に介護者の休息時間も確保できる非常に効果的なサービスです。

デイケア(通所リハビリテーション)では、医療施設や介護施設で理学療法士等による専門的なリハビリテーションを受けられます。機能回復や維持を目的とした訓練を受けることで、親の生活の質の向上が期待できます。

どちらのサービスも、親の状態や希望に合わせて利用頻度を調整でき、送迎サービスも含まれているため、家族の負担軽減効果は非常に大きいといえます。

ショートステイ

ショートステイは、介護施設に短期間宿泊し、24時間体制で介護サービスを受けることができる制度です。介護者の休息や急用の際に活用でき、月に数日利用するだけでも負担が大幅に軽減されます。

計画的に利用することで、介護者が友人との時間を楽しんだり、自分の用事を済ませたりする貴重な時間を作ることができます。また、急な出張や体調不良の際の緊急時利用も可能です。

配食サービス

多くの自治体で高齢者向けの配食サービスを提供しています。栄養士が監修した栄養バランスの取れた食事を自宅まで届けてもらえるため、食事の準備負担を大幅に軽減できます。

このサービスは単なる食事提供だけでなく、配達時の安否確認としての役割も果たしています。配達員が異常を発見した場合には、家族や関係機関に連絡してもらえるシステムになっています。

見守りサービス

一人暮らしの親や日中独居となる親のために、様々な見守りサービスが利用できます。電話による定期的な安否確認、センサーによる生活リズムの見守り、緊急時の駆けつけサービスなど、多様な選択肢があります。

これらのサービスを利用することで、離れて暮らしている場合でも安心して仕事に集中することができ、精神的な負担が大幅に軽減されます。

家族間での介護分担の決め方

介護を一人で抱え込まないためには、家族全体で協力体制を築くことが重要です。ここでは、効果的な家族会議の開き方や、公平で持続可能な役割分担の方法について詳しく解説します。

家族会議の開き方とポイント

家族全員が参加する定期的な会議は、介護を円滑に進めるために不可欠です。感情的になりがちな家族間の話し合いを建設的に進めるためには、事前の準備と明確なルールが重要になります。

会議を開く前に、親の現在の状態と今後の見通し、必要な介護内容とその頻度、現在の費用負担状況、各家族の事情(仕事、住居、健康状態など)について整理しておきましょう。これらの情報を客観的なデータとして共有することで、感情的な議論を避けることができます。

話し合いの際は、感情的にならず事実に基づいて議論すること、一人に負担が集中しないよう配慮すること、定期的に見直しを行うことをルールとして設定します。これらのルールを全員で確認してから話し合いを始めることが大切です。

役割分担の具体的な方法

効果的な役割分担を行うためには、介護業務を性質ごとに分類し、各家族の状況に応じて適切に配分することが重要です。

物理的な介護については、近居の家族が日常的なケアを担当し、平日に対応可能な家族が通院付き添いを行うなど、地理的条件や時間的制約を考慮して分担します。緊急時対応については、明確な連絡体制を確立し、誰がどのような状況で対応するかを事前に決めておきます。

精神的サポートでは、話し相手になること、外出の付き添い、趣味活動のサポートなど、親の精神的な健康を維持するための役割を分担します。これらは必ずしも同居していなくても担える役割です。

事務的業務として、医療費や介護費用の管理、各種手続きの代行、情報収集と家族への共有などがあります。これらは比較的時間と場所の制約が少ないため、遠方に住む家族でも担当しやすい役割です。

遠方に住む兄弟姉妹との連携

物理的な距離があっても、様々な形で介護に協力してもらうことが可能です。現代のテクノロジーを活用することで、遠方にいても意味のある支援を提供できます。

定期的な電話での安否確認やオンライン通話での顔を見ての会話は、親の精神的な支えになります。また、費用面での協力や、インターネットを使った情報収集と手続きのサポートも重要な役割です。

長期休暇時には介護を代行してもらうことで、主たる介護者が充分な休息を取ることができます。このような計画的な交代制を導入することで、持続可能な介護体制を構築できます。

費用負担の話し合い方

介護費用の分担についても、透明性を保ちながら早めに話し合っておくことが重要です。後々のトラブルを避けるためには、明確なルールを設定し、定期的に見直しを行う必要があります。

まず、親の年金や貯蓄の状況を正確に把握し、各家族の収入に応じた負担割合を決定します。緊急時の費用負担ルールや、将来的な施設入所時の費用計画についても話し合っておきましょう。

これらの取り決めは書面で記録し、全員で共有することが大切です。状況の変化に応じて柔軟に見直しを行いながら、公平性と透明性を維持していきます。

介護ストレスへの具体的な対処法

介護によるストレスは避けられないものですが、適切な対処法を知ることで症状の悪化を防ぎ、心身の健康を維持することができます。ここでは、介護者自身のメンタルケアの方法と、相談できる場所や支援制度について詳しく説明します。

介護者自身のメンタルケア

介護ストレスは放置すると深刻化するため、早めの対処が重要です。まず、自分のストレス状態を正しく把握することから始めましょう。

ストレスのサインとして、不眠や食欲不振、イライラや不安感の増大、集中力の低下、社会的な活動への参加意欲の低下などがあります。これらの症状が現れた時は、無理をせずに対処することが大切です。

セルフケアの方法として、十分な睡眠時間の確保、栄養バランスの取れた食事、適度な運動やストレッチ、深呼吸や瞑想などのリラクゼーションが効果的です。特に睡眠は心身の回復に不可欠なので、質の良い睡眠を取れる環境を整えることを優先しましょう。

相談できる場所・人を見つける

一人で悩みを抱え込むことは、ストレスを増大させる最大の要因です。適切な相談先を見つけ、定期的に話を聞いてもらうことで、精神的な負担を大幅に軽減できます。

家族介護者の会・サポートグループ

同じ境遇の人たちと悩みを共有できる場として、多くの自治体で家族介護者の会やサポートグループが開催されています。実体験に基づいたアドバイスを得ることができ、「自分だけではない」という安心感を得られます。

これらのグループでは、具体的な介護技術の情報交換から、精神的な支え合いまで、幅広いサポートを受けることができます。参加することで新しい視点や解決策を発見できる場合も多くあります。

ケアマネジャーとの相談

担当のケアマネジャーは、介護の専門家として様々な相談に応じてくれます。サービスの調整だけでなく、家族の悩みについても気軽に相談してみましょう。

ケアマネジャーは多くの介護事例を経験しているため、あなたの状況に適した解決策を提案してくれる可能性があります。また、必要に応じて他の専門職や機関との連携も図ってくれます。

専門カウンセリング

介護ストレスが深刻な場合は、専門のカウンセラーに相談することも検討しましょう。多くの地域で介護者向けのカウンセリングサービスが提供されており、心理的な負担を専門的にサポートしてもらえます。

働きながら介護を続けるための制度活用

仕事と介護の両立は多くの人が直面する課題ですが、様々な支援制度を活用することで、無理なく継続することが可能です。ここでは、法的に保障された制度から職場での工夫まで、包括的に説明します。

介護休業制度の使い方

雇用保険に加入している労働者は、家族の介護のために最大93日間の介護休業を取得できる権利があります。この制度は法的に保障されているため、条件を満たしていれば雇用主は拒否することができません。

取得条件として、同一事業主に1年以上雇用されていること、申し出から93日経過後も雇用継続の見込みがあることが必要です。また、介護休業期間中は介護休業給付金として、休業前賃金の67%が支給されます。

介護休業は分割して取得することも可能で、親の状態変化に応じて柔軟に活用できます。制度の詳細については、会社の人事部門や最寄りのハローワークで相談することができます。

時短勤務・フレックス制度の活用

多くの企業で介護と仕事の両立を支援する制度が整備されています。短時間勤務制度、フレックスタイム制度、在宅勤務制度、介護休暇制度など、様々な選択肢があります。

これらの制度を活用することで、親の通院に付き添ったり、介護サービスの調整時間を確保したりすることが可能になります。制度の有無や条件については、人事部や上司に確認してみましょう。

最近では働き方改革の流れもあり、多くの企業が柔軟な働き方を支援する傾向にあります。遠慮せずに相談し、自分に適した働き方を見つけることが重要です。

まとめ:一人で抱え込まず、制度を活用して両立を目指そう

親の介護と自分の生活の両立は、決して簡単なことではありません。しかし、適切な知識と支援を活用することで、持続可能な介護を実現することは十分に可能です。

最も重要なのは、制度とサービスの積極的な活用です。介護保険サービス、地域の支援制度、民間サービスを適切に組み合わせることで、家族だけでは対応しきれない部分をカバーできます。これらのサービスを利用することは、決して親に対する愛情が足りないということではありません。

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