今回のお悩み:老親に会うとキツくあたってしまうときの対処法を教えてほしい

今回届いたお悩みはこちらです。

以前は一人暮らしをしていた 70代後半の母と、3か月ほど前から同居を始めました。
耳が悪く コミュニケーションをとりにくかったり、トイレや下着を汚してしまったり、さっき言ったばかりのことを忘れてしまったりするとき、ついつい母にキツくあたってしまいます。
「こちらにとっては簡単のように思えることでも 以前のようにはできなくなっている」ということは 頭ではわかっているのですが、どうしてもイライラしてしまいます。
いい対処法があれば、教えていただきたいです。
( 40代女性 )

高齢の親と話すときにイライラしてしまう、親が悪いわけではないということはわかっていながら、キツくあたってしまうという話はよく耳にします。
今回の相談者の場合、親が具体的な病気にかかっているという記述はないですが、認知症の親をもつ家族介護者などの場合、特に 思わずキツくあたってしまうということがあるようです。
そのようなとき、どのように対処するのが適切なのか、今回も 3人の専門家・実際の介護経験者をお呼びして それぞれの見解をお聞きしました。

① 介護従事者 松本さん(53)の視点:自分の感情を理解し、コントロールする方法を学ぶ

老親へのイライラの原因を探り、感情をコントロールする力を身につける

親にキツくあたってしまうという悩みを解決するには、まずは自分自身の感情の原因を理解することから始める必要があります。
高齢の親の行動に対してイライラしてしまう理由は様々ですが、多くの場合、期待と現実のギャップから生じるフラストレーションが根底にあります。
「こんなことは簡単にできるはず」という思い込みが、実際にはできない親を目の当たりにしたときに、イライラという形で表れるのです。

感情の原因を理解した上で、次にイライラの瞬間を観察してみましょう。
どのような状況で感情が高ぶるのか、その時の自分の身体の変化(例:呼吸が速くなる、肩に力が入る、声が大きくなるなど)に気づくことで、感情が爆発する前に対処できるようになります。
「今の親の行動は、無意識ではあるが自分にとって期待外れだったかもしれない」と自分を客観的に観察したうえで、いったんその場を離れる、深呼吸をする、10まで数えるなど、自分を落ち着かせようとすることは、シンプルな方法ではありますが非常に効果的です。

イライラの原因をなくせる範囲でなくす

今回の相談者さんでいう「耳が悪く コミュニケーションをとりにくい」のように、自分がイライラしてしまう 具体的な状況がわかっている場合、そのような状況が起こりにくいような方法を考えることも重要です。
たとえば、大きな声で明瞭に話す、電話ではなく対面で話す、必要に応じてメモやジェスチャーを使うなど工夫することで、お互いのフラストレーションを軽減できるでしょう。

感情のコントロールは一朝一夕にできるものではありませんが、継続的な自己観察と練習によって、少しずつ上手になっていくものです。
キツくあたってしまった時は、自分を責めすぎず、また明日からやり直せばいいという気持ちで取り組むことが大切です。

② ダブル介護をしていた家族介護経験者 掛川さん(62)の視点:自分自身の精神状態を安定させる

無理な感情の制御より、自分のストレス発散の場を作ることが重要

高齢の親の介護や同居は、想像以上に精神的な負担がかかるものです。
特に今回の相談者のように最近同居を始めたケースでは、生活リズムの変化や新たな責任感から、ストレスが急激に増加している可能性があります。
私は、自分自身が長年 ダブル介護を続けてきた経験から、イライラした感情を無理に抑え込もうとするよりも、自分自身の精神状態を安定させる環境づくりが先決だと考えています。

① イライラした気持ちを話せる相手をつくる

まず大切なのは、信頼できる人に自分の気持ちを話せる場を持つことです。
昔からの友人、家族など、誰でも構いません。
同じような境遇の人が集まる介護者の会に参加するという方法もあります。
「親にキツくあたってしまう自分」に必要以上に罪悪感を持つ必要はなく、むしろそういった感情も含めて率直に話せる相手をもつことが重要です。

② リフレッシュできる時間をつくる

定期的に自分だけの時間を確保することも重要です。
趣味に没頭する、スポーツをする、友人と会うなど、介護から離れてリフレッシュできる時間を意識的に作りましょう。
必要であれば、デイサービスなどの介護サービスを利用して、一時的に介護の負担から解放されることも検討してください。

③ 基本的な生活習慣を整える

さらに、基本的なことではありますが、睡眠や食事など基本的な生活習慣を整えることも 精神状態の安定には欠かせません。
疲れがたまると、通常なら気にならないことでもイライラしやすくなります。
感情をコントロールする方法を学ぶことも大切ですが、まずは自分自身が精神的に安定した状態を保てるよう、環境を整えることから始めてみてください。
自分が元気でなければ、良い介護はできません。

③ ケアマネージャー 中本さん(37)の視点:親への期待を減らし、プラスを見つける習慣をつける

現実的な目線で親の今の能力を見つめ直す

高齢の親にキツくあたってしまう原因の多くは、無意識のうちに「私の親だからできて当然」という期待を持っていることにあります。
特に自分の親に対しては、長年の親子関係から、「あの頃はできていたのに」という思いが強く、現実とのギャップにフラストレーションを感じやすいのです。

私がお勧めするのは、親に対する「期待値」を意識的に下げることです。
これは親を見下すということではなく、現実的な目線で親の今の能力を見つめ直すということです。
高齢になれば誰でも能力は低下します。
それは自然なことであり、責められるべきことではありません。
「自分が期待を抱いてしまっているかもしれないが、今の親はそうではない」というところまで含めて意識的に理解することで、親に対するイライラは軽減されるかもしれません。

小さなプラスを見つける習慣をつける

親への期待のハードルを下げることができたら、次に 親ができないことに目を向けるのではなく、できていることや良かったことに注目する習慣をつけましょう。
例えば、今日は母親が自分で食事を完食できた、笑顔を見せてくれた、感謝の言葉を言ってくれたなど、小さなことでも良いので、一日の終わりに「今日の良かったこと」を振り返る時間を持つのです。

また、親に対して感謝の気持ちを意識的に育てることも効果的です。
現在の状況だけでなく、親が健康だった頃にしてくれたことを思い出したり、自分を育ててくれたことへの感謝を考えたりすることで、イライラが軽減されることもあります。

介護は長い道のりです。完璧を求めず、自分も親も「今できる最善」を尊重する姿勢が大切です。
キツくあたってしまう日があっても、「明日はもう少し優しく接しよう」と思い直すだけで十分なのです。
親のことも 自分のことも責めすぎないようにするという小さな前進を積み重ねることが重要です。

まとめ

今回は、高齢の親にキツくあたってしまうときの対処法を、3人の専門家・実際の介護経験者の視点からご紹介しました。
感情の原因を探り 理解することで自己コントロール力を高める方法、自分自身のストレス発散の場を確保して 精神状態を安定させる方法、そして親への期待を現実的なものに調整し、感謝の気持ちを育てる方法という、それぞれ異なるアプローチが示されました。

これらの方法は互いに補完し合うものであり、状況や 親・自分それぞれの性格に応じて組み合わせることで、より効果的に活用できるでしょう。
高齢の親との関係は 単なる介護の問題ではなく、長年の親子関係や感情が複雑に絡み合ってくる問題です。
一朝一夕に改善するものではありませんが、小さな変化の積み重ねが大きな違いを生み出すことを信じて、日々の関わりを見直してみてください。

また、本編でも何度か言及されていましたが、自分を責めすぎないことも大切です。
完璧な介護者はおらず、時にはイライラしたり、疲れたりするのは自然なことです。そんな時は、今回ご紹介した方法を思い出し、自分自身をいたわりながら、親との関係を少しずつ改善していく道を歩んでいただければと思います。

おわりに ~まごとも利用のすすめ

今回は、一人暮らしをしている高齢の親の孤独を軽減する方法を、3人の専門家・実際の介護経験者の視点からご紹介してきました。
家族介護経験者 掛川さんは 自分自身の時間をとることが大事だと話していましたが、場合によっては すべて自分でやらなければならないとは思わず、介護サービスなどに親を任せる時間をとることも有効かもしれません。
ここでは 最後に、そのように他の人に親と一緒に過ごしてもらうという決断をする際の 一つの選択肢として、大学生が高齢者の自宅に訪問し、楽しい時間を過ごしたり定期的な見守りを行ったりするという京大発ベンチャーが開発したサービス『まごとも』をご紹介します。

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『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。

『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
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