定年退職後は日々の時間に余裕が生まれ、新たな生活が始まると思います。そうした中で、どのように時間を活用すればいいか悩む方や、新たな趣味を見つけたいという方が多いのではないでしょうか。
また、体が思うように動かなくなってくるなど、今までと同じ趣味が続けられなくなってしまった方も多いと思います。
趣味を持つことは、単なる時間つぶしではなく、生きがいや健康維持、そして人とのつながりを生み出す大切な要素です。
本記事では、高齢者が新たな趣味を見つけるポイントから具体的な趣味の例、そして趣味が健康に与える良い効果までを徹底解説します。
また、高齢者の息子世代に向けて、親の新たな趣味発見をサポートする方法も紹介します。
高齢者の趣味ランキング
高齢者の趣味ランキング(65歳以上の年代での平均)
「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)を加工して利用
高齢者の間では、園芸、庭いじり、ガーデニングが一位と強い人気を集めており、家の近くで気軽にでき、またゆっくり自分のペースで楽しめるのが人気を集めるポイントとなっているようです。また、花が咲いて色鮮やかになった庭を眺めたり、家庭菜園で実った野菜を収穫したりするときに得られる達成感が生きがいや喜びにつながるのもポイントです。
それ以下の順位では読書や映画鑑賞、美術鑑賞など鑑賞系の趣味が強い人気になっています。
人気があるものは、やはり近場で気楽にできる趣味が多いことがわかります。
このようなデータからは、年齢を重ねても様々な趣味を通じて充実した時間を過ごしている高齢者の姿が浮かび上がる一方、高齢者ほど外出や運動を伴う趣味の割合が減っているのも現実です。
ここからは、新しい趣味を見つけるときのポイントについて説明していきます。
趣味の見つけ方のポイント
高齢者が趣味を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。せっかく新しく始める趣味なので、長く続けられてメリットが多いものがいいですよね。
どのような趣味がそうしたポイントに当てはまるのでしょうか。
程よい挑戦や、達成感、やりがいを味わえるもの
趣味は「できた」「上達した」という達成感が得られるものが理想的です。若い頃から続けていたものでも、新しく始めるものでも、少しずつ上達していく過程を楽しめることが大切です。
例えば料理や園芸は、自分の手で作り上げた成果が目に見える形で表れ、それを家族や友人と分かち合うことができます。
他にも絵画や書道などの芸術活動は、作品として残るため達成感が得られやすいでしょう。
また、新しいことを学ぶこと自体がやりがいになります。
脳は何歳になっても新しい刺激を受けると活性化します。
「昔からやりたかったけれどできなかったこと」に挑戦するのも良いでしょう。
長年興味があったが、時間がなくてできなかったことなどは、今こそ始める絶好の機会です。
体を動かすこと
加齢とともに運動量が減少しがちですが、適度な運動は健康維持に欠かせません。
体を動かす趣味は、筋力の維持や柔軟性の向上、そして循環器系の健康にも良い影響を与えます。
ただし、若い頃と同じような激しい運動は避け、自分の体力に合わせた活動を選ぶことが重要です。
ウォーキングや水中運動、ヨガなど、年齢や体の状態に合わせた運動から始めるのが良いでしょう。
体を動かす趣味は気分転換にもなり、自然と外出する機会も増えます。
また、体を動かすことで気分がすっきりし、元気な日々を送れるようになります。
たくさん人とコミュニケーションをとることができるもの
高齢になると、退職や家族の独立などで人とのつながりが減少しがちです。
しかし、社会的な交流は心身の健康に大きく影響します。
趣味を通じて新しい人間関係を築くことは、孤独感の解消につながります。
地域のサークル活動や教室に参加することで、共通の趣味を持つ仲間と出会えます。
最初は緊張するかもしれませんが、同じ趣味を持つ人と話すのはとても自然なコミュニケーションの形です。
また、長年培ってきた経験や知識を若い世代に伝える活動も、世代間交流の貴重な機会となります。
個人それぞれに合った趣味とは?その具体例を三つのカテゴリに分けて紹介
趣味とは人それぞれの性格や身体的特徴によるもの
趣味は一人ひとりの個性や好みに合ったものを選ぶことが大切です。
活発な性格の方は人と交流する機会が多い趣味が向いていますし、物静かな方は一人でじっくり取り組める趣味が合っているかもしれません。
また、体の状態によっても選ぶべき趣味は変わってきます。
若い頃から続けてきた趣味があれば、それを年齢に合わせて調整しながら続けるのも良いでしょう。
自分に合った趣味を見つけるために、様々な活動を試してみる姿勢も大切です。
ここでは数多くある趣味を以下の三つに分類して紹介します。
- 体をあまり動かさずにじっくりできる趣味
- 軽い運動や外での活動
- 人とのコミュニケーションを伴う趣味
自身の体の状態や、性格に合わせて合いそうな趣味を探してみましょう。
体をあまり動かさずにじっくりできる趣味
身体的な制約がある方や、じっくりと集中して取り組むことを好む方には、室内でできる静かな趣味がおすすめです。
室内でできる趣味は、道具さえそろえばじっくり打ち込めるものが多く、また自分の力で何かを作り上げたり、成し遂げたときにはよい達成感が得られるでしょう。
芸術、創作活動系の趣味
芸術、創作活動系の趣味は、一人でじっくりできるものが多く、完成したときには大きな達成感が味わえるのが特徴です。
どの活動も、創造性を働かせたり、手先の器用な扱いが必要だったりと脳によい刺激を与え、認知症の予防にもなります。
- 絵画・水彩画:心の中のイメージを形にする喜びがあり、脳の創造的な部分を刺激します。
- 書道:集中力を高めることができます。美しい文字を書き、飾るのもよいでしょう。
- 陶芸:土を練り、形を作り、釉薬をかけて焼き上げる工程それぞれに奥深さがあります。
- 編み物・刺繍:手先を使うことで脳を刺激し、完成品を実用的に使える喜びもあります。
- 俳句・短歌:言葉を通じて自分の感性を表現し、感情を言葉で残せる喜びがあります。
- 写真整理・アルバム作り:思い出を整理しながら人生を振り返り、家族の歴史を残せます。
- 模型製作:細部まで作り込む集中力と忍耐力が必要ですが、完成時の満足感は格別です。
デジタル機器の使い方学習
急速に発展したデジタル機器ですが、使い方がさっぱりという人も多いと思います。
この機会に趣味として使い方を学習し始めてみるのはどうでしょう。
初めは難しく感じてもだんだんと慣れてくると思います。
デジタル機器を自在に扱えるようになれば、インターネットを通じて様々な情報を手に入れられたり、家族とのオンラインでのコミュニケーションが可能になったりします。
また、パソコンを用いるとより便利に絵をかいたり、3DCGを作ることができたりと、趣味の幅も広がります。
- パソコン教室:基本操作から写真加工、文書作成まで学べ、情報収集の幅が広がります。
- スマートフォン活用:アプリの使い方を学び、遠方の家族とのビデオ通話や写真共有が楽しめます。
- 写真とその印刷:撮影からデータ整理、加工、印刷まで、渾身の一枚を撮る喜びがあります。
- 動画視聴:YouTubeなどで趣味や関心事に関する動画を視聴し、新たな知識を得られます。
- 電子書籍:文字サイズを調整できるので読みやすく、多くの本を持ち運ばずに楽しめます。
軽い運動や外での活動
身体を動かすことは、心身の健康維持に役立ちます。
自分のペースで楽しめる軽い運動や屋外活動は、高齢者にとって理想的な趣味となります。
もともと体を動かすのが好きだった方や、足腰に丈夫な自信がある方はぜひ以下の趣味を試してみてください。
体を動かす趣味
- ヨガ:呼吸と動きを調和させることでリラックス効果が高く、柔軟性も向上します。
- 水中ウォーキング:関節への負担が少なく、全身運動効果が得られる理想的な運動です。
- 卓球:激しい動きが少なく、高齢者にもやりやすいスポーツです。
- ダンス:社交ダンスやフォークダンスは音楽に合わせて体を動かす楽しさがあります。
- ストレッチ体操:毎日少しずつ行うことで、体の柔軟性を維持し、血行も良くなります。
- グラウンドゴルフ:ゴルフの要素を取り入れた高齢者に人気のスポーツで、仲間と楽しめます。
外でできる趣味
スポーツ以外にも家の外に出る趣味は数多くあります。
外に出ていろいろなものに触れることによって、気持ちが明るくなったり、新たな楽しみを見つけられたりします。
たまに行く旅行を楽しみに、そのための体力づくりとして日頃のウォーキングを日課にするのもよいでしょう。
- ガーデニング:植物の成長を見守る喜びがあり、適度な運動にもなります。
- 散策・ウォーキング:季節の変化を感じながら歩くことで、心身ともにリフレッシュできます。
- 釣り:自然の中でじっくり待つ静かな時間と、魚が釣れた時の喜びが味わえます。
- 旅行:新しい土地を訪れ、文化や食を楽しむことで、視野が広がり、日常から離れた特別な時間を過ごせます。
- 温泉巡り:各地の温泉に浸かりながら、癒しの時間を満喫できます。泉質の違いを楽しんだり、温泉街の散策も魅力の一つです。
- 道の駅巡り:地域の特産品やグルメ、地元ならではの工芸品を発見する楽しみがあります。
- 鉄道・バス旅:車ではなく公共交通機関を利用することで、車窓からの景色をゆったり楽しめます。車の運転が億劫な方にもおすすめです。
人とのコミュニケーションを伴う趣味
地域の人や若者とのコミュニケーション
人との交流を持つことは、精神的健康に大きく影響します。
共通の趣味を通じて新しい人間関係を築くことで、社会とのつながりを維持できます。
自分がコミュニティの一員であることが生きがいにつながり、またその中で役に立てるということは何にも代えがたい喜びになります。
- 合唱団・音楽サークル:共に歌うことで一体感が生まれ、発表会は大きな目標になります。
- 地域ボランティア:図書館での読み聞かせや地域清掃など、社会貢献が生きがいになります。
- 郷土料理教室:地域の伝統食を伝承し、共に調理して食べる喜びを分かち合えます。
- 読書会:本の感想を共有することで、新たな視点や考え方に触れる機会になります。
- 将棋・囲碁サークル:頭脳を使うゲームを通じて交流し、世代を超えた対戦が楽しめます。
- 地域の歴史研究会:地元の歴史を共に学び、時には若い世代に伝える活動もできます。
介護サービスの利用
また、介護サービスの利用も人とのコミュニケーションの場となります。
同じ境遇の方々とかかわることで、新たな友人ができるといった良さもあります。
- デイサービスでの活動:専門スタッフのサポートを受けながら、安全に様々な活動が楽しめます。
- リハビリを兼ねた趣味活動:理学療法士や作業療法士の指導で、体の状態に合った活動ができます。
- 施設内のレクリエーション:同じ境遇の人々と交流しながら、工作や音楽活動を楽しめます。
- 介護予防教室:地域の施設で開催される健康維持のための活動に参加できます。
- 訪問サービスでの活動支援:自宅でも専門家のサポートを受けながら趣味活動を続けられます。
高齢者が趣味を見つけることによる効果
生きがいになって長く健康に生きられる
趣味があることは、日々の生活に目的と楽しみをもたらします。
「今日はこれをしよう」「次はあれを試してみよう」という小さな目標が、毎日を充実させます。
実際、趣味を持つ高齢者は持たない高齢者に比べて、健康寿命が長いという研究結果もあります。
生きがいを感じることは精神的な満足感をもたらし、ストレスの軽減にもつながります。
また、趣味を通じて新しいことに挑戦する姿勢は、年齢を重ねても前向きな気持ちを維持するのに役立ちます。
何かに熱中できる対象があることで、日々の生活にメリハリが生まれ、活力ある生活を送ることができるのです。
認知症やからだが弱っていくのを予防できる
趣味活動は認知機能の維持や向上に効果があるとされています。
特に新しいことを学んだり、手先を使ったり、計算や思考を要する趣味は、脳に良い刺激を与えます。
認知症予防には「認知的予備力」という脳の予備能力を高めることが重要ですが、趣味を通じて脳を活発に使うことはその助けになります。
また、体を動かす趣味は、筋力の維持や骨密度の低下を防ぎ、バランス感覚を保つことにも役立ちます。
これにより、転倒リスクの減少や日常生活動作(ADL)の維持につながります
。何より、趣味を楽しむことでポジティブな感情が生まれ、免疫機能の向上にも良い影響を与えると言われています。
親に新たな趣味に興味を持ってもらうには~高齢者の息子世代向け~
ここまで様々な趣味を例示してきましたが、高齢の親に新たな趣味を見つけてほしい、という思いを持つ方も少なくないと思います。
自分を育ててもらった親にはいつまでも元気で楽しく生きてもらいたいものです。
趣味を見つけることで、高齢者の日常には活力がうまれ、長生きの秘訣にもなります。
高齢の親に新しい趣味を勧める際には、押し付けにならないよう配慮することが大切です。
まずは親の過去の経験や興味を持っていたことを思い出してみましょう。若い頃に好きだったことや、仕事で培った技術を活かせる趣味は取り組みやすいものです。
一緒に体験できる機会を作るのも効果的です。
「一緒に行ってみよう」と誘い、実際に体験してもらうことで興味が湧くかもしれません。地域のイベントや体験教室の情報を集め、気軽に参加できるものを提案してみましょう。
何より大切なのは、親の自主性を尊重することです。こちらが良いと思うものでも、本人が興味を持たなければ続きません。
様々な選択肢を提示し、最終的には本人の選択に任せる姿勢が重要です。
小さな一歩から始まり、徐々に趣味の世界が広がっていくよう、温かく見守りましょう。
新たな趣味の選択肢!~まごともの紹介~
今回の記事では高齢者の趣味について紹介してきました。
老後の生活で、新しい趣味を探していたり、なにか代り映えのしない日常に少し違う色を加えたいとおもっていたりする方にお勧めのサービスである『まごとも』を紹介します。
『まごとも』とは、介護福祉士監修の研修を受けた若者が大学生が高齢者の自宅に訪問することで、一人暮らしの高齢者の様子を定期的に見守りつつ 日常への刺激や人とコミュニケーションする機会を提供してくれる京大発ベンチャーが開発したサービスです。
孫世代の大学生と交流し、お話すること自体が新たな趣味になったり、一緒に散歩に出かけたり、デジタル機器の使い方を教えてもらったり…と新しい趣味を一緒に始める仲間としてもおすすめです。
こうした、一緒に趣味をするといったことは介護保険サービスではできないことも多く、こうした手が届かない部分も「まごとも」なら可能です。
『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。
ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。
また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。
詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。
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