「最近、お父さん(お母さん)がテレビを見てばかりで心配…」「何かやりたいことはないの?と聞いても『特にない』と言われてしまう」こうした状態にお悩みの方は多いと思います。
高齢者の「やることがない」状態は、一見のんびりしているように見えても、実は心身の健康や生活の質に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、高齢者が何もやりたがらない心理的背景を理解し、ご本人やご家族ができる具体的な解決策をご紹介します。
大切なのは、無理に何かをさせることではなく、その方らしい生きがいや楽しみを一緒に見つけていくことです。
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やることがない高齢者が増えている背景と問題点
趣味がない高齢者の割合
内閣府の調査によると、60歳以上の高齢者のうち約4割が「特に趣味がない」と回答しています。特に男性の場合、定年退職後に仕事以外の活動を見つけられずにいる方が多く見られます。
現代の高齢者世代は、いままでの仕事中心の生活からいきなり時間が増えるため、退職後の時間の使い方に戸惑いを感じる傾向があります。また、核家族化や地域コミュニティの希薄化により、自然と活動の機会が減少していることも背景にあります。
やることがないとどんな問題がおきる?
心身の健康への影響
やることがない状態が続くと、身体機能の低下が進みやすくなります。日中の活動量が減ることで筋力が衰え、転倒リスクが高まったり、生活習慣病の悪化につながったりする可能性があります。
また、脳への刺激が少なくなることで認知機能の低下も心配されます。新しいことを学んだり、人と会話したりする機会が減ると、記憶力や判断力の維持が困難になることがあります。
孤独感と社会的な孤立
趣味がないことで外出の機会が減り、人との接触が少なくなります。これにより孤独感が強まり、うつ症状を引き起こすリスクも高まります。
特にコロナ禍以降、高齢者の社会的孤立は深刻な問題となっており、人と関わる機会がないと日々を元気に過ごすパワーが湧きません。人とのつながりは心の健康にとって非常に重要な要素です。
生きがいや自己肯定感の低下
やることがない状態が続くと、「自分は役に立たない」「生きている意味がない」といった否定的な感情を抱きやすくなります。これまで仕事や子育てで忙しかった方ほど、この変化を受け入れるのが困難な場合があります。
生きがいを失うことで食欲や睡眠にも影響が出て、全体的な生活の質の低下につながることもあります。
高齢者が何もやりたがらない心理的背景
社会とのつながりの希薄化
現代社会では、退職とともに職場での人間関係が途切れ、地域との接点も少なくなりがちです。「新しい環境に飛び込むのは怖い」「知らない人ばかりの中に入っていくのは気が重い」という気持ちから、外に出ることを避けてしまう方も多くいます。
また、長年住んでいる地域でも、近所付き合いが薄くなっている現状があり、自然と活動の場が限られてしまいます。
自信の低下と不安
年齢を重ねることで「もう新しいことは覚えられない」「若い人についていけない」という不安を感じる方が少なくありません。特に技術の進歩についていけない焦りや、体力の衰えを実感することで、新しいことに挑戦する意欲が削がれてしまうことがあります。
また、「もう歳だから」「今さら始めても意味がない」といった思い込みが、行動を制限してしまうこともあります。
いままでできていたことができなくなっていく辛さ
車の運転ができなくなったり、重いものを持てなくなったり、細かい作業が困難になったりと、できることが少しずつ減っていく現実に直面することで、「何をやっても意味がない、できない」という気持ちになってしまうことがあります。
しかしながら何をやってもできないというのは思い込みで、あきらめずに自分の状態に合った楽しみを見つけることが重要です。
やることがないシニア世代への解決策
趣味を見つけて豊かな時間に
趣味を見つけることは、高齢者の生活に彩りを与える重要な要素です。しかし、いきなり本格的な趣味を始める必要はありません。まずは「少し興味がある」「やってみたい」と思えることから始めることが大切です。
手軽に始められる趣味の例:
- 園芸・ガーデニング:ベランダでの小さな鉢植えから始められます。
- 読書:図書館などを利用すれば、お金もかからず、外出も伴うことができます。
- 散歩・ウォーキング:健康にも良く、季節の変化を楽しめます。習慣とすることで地域の方とのつながりもできるかもしれません。
- 料理・お菓子作り:家族に喜んでもらえる楽しみもあります。
- 手工芸:編み物、折り紙、絵画など、手先を使う活動は脳の活性化にも効果的です。
社会とのつながりを持てる趣味:
- 地域のサークル活動
- 囲碁・将棋
- ダンス・体操教室
- ボランティア活動
- シニア大学
これらの趣味は他人と関わる機会が多く、退職後に不足してしまう人とのつながりを得ることができます。
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高齢者にお勧めの暇つぶし
本格的な趣味を見つける前に、日常の中でできる暇つぶしから始めることも効果的です。
いきなり新しい趣味を見つけたり新たなコミュニティに入るのはハードルが高いので、まずは以下のような気楽にできるものから初めて、長続きすればそれを趣味に昇華していくのがいいでしょう。
室内でできる暇つぶし:
- パズル・クロスワード:脳トレーニングにもなります
- 昔の写真を整理する:思い出話のきっかけにもなります
- 日記を書く:1日の振り返りや感謝の気持ちを記録
- テレビ・ラジオ体操:軽い運動習慣をつけられます
- 孫との電話・ビデオ通話:技術に慣れるきっかけにも
外出を伴う暇つぶし:
- 近所の散歩・買い物:適度な運動と社会参加になります。
- 図書館・公民館の利用:無料で利用でき、イベント情報も得られます。
- 喫茶店・カフェでの時間:外出や人との接触のきっかけになります。
- 公園でのベンチタイム:季節の変化を感じられます。
やることがない高齢の親に対しての接し方
この記事を読んでいる方の中には、高齢者の親が毎日ぼうっと過ごしている状況を心配している方も多いと思います。
いつまでたっても親には元気で楽しくしていてほしいと思う人が多いでしょう。ここではそういった方々にとってどんなことが趣味のきっかけとなるか紹介します。
1. 一緒に過ごす時間を作る 忙しい日常の中でも、定期的に一緒に過ごす時間を設けることが大切です。お茶を飲みながらの会話や、一緒にテレビを見る時間でも、コミュニケーションの機会になります。
2. 得意だったことや昔の話を聞く 「お母さんの作る煮物の作り方を教えて」「お父さんが若い頃の仕事の話を聞かせて」など、これまでの経験や知識を尊重し、教えてもらう姿勢を示すことで、自己肯定感を高めることができます。
3. 情報提供のサポート 地域の活動やイベント情報を調べて紹介したり、興味を示したことについて一緒に調べたりするサポートをしましょう。インターネットの使い方を教えることで、新しい世界が広がることもあります。
4. 小さな役割をお願いする 「孫の迎えをお願いできる?」「家庭菜園の水やりをお任せしたい」など、無理のない範囲で小さな役割をお願いすることで、必要とされている実感を持ってもらえます。
5. 一緒に新しいことに挑戦する 誰にとっても一人で新しいことを始めるのは勇気がいるものです。「一緒にやってみない?」という提案で、新しい活動のきっかけを作ってあげましょう。
やることがない高齢者が生き生きと過ごせるようになった具体例
Aさん(75歳男性)の場合
定年退職後、テレビを見て過ごすことが多くなったAさん。娘さんの提案で地域の将棋サークルに参加することになりました。最初は「もう頭が回らない」と消極的でしたが、同世代の仲間との対局を楽しむうちに、週3回の将棋が生活のリズムとなりました。今では大会にも参加し、「次の一手を考えるのが楽しい」と話しています。
Bさん(68歳女性)の場合
子育てが終わり、家にいることが多くなったBさん。息子さんが「お母さんの手料理を習いたい」と言ったことをきっかけに、料理教室を始めることになりました。最初は家族に教えるだけでしたが、近所の方からも「教えて」と言われるようになり、現在は月2回の小さな料理教室を自宅で開催。「人に喜んでもらえるのが一番の生きがい」と笑顔で話しています。
Cさん(70歳男性)の場合
体力の衰えを感じ、外出を控えがちになっていたCさん。妻の勧めで始めた散歩から、徐々に写真撮影に興味を持つようになりました。スマートフォンのカメラ機能を覚え、散歩中に撮った花や風景の写真を家族に送ることが日課となっています。「毎日新しい発見がある」と、散歩が楽しみになっています。
どれもふとしたきっかけから始まり、それが趣味となっています。初めから意気込んで趣味を探そうとするよりも、その方のペースに合わせることが成功のカギとなっています。
また、家族からの何気ない一言が趣味を始めるきっかけになることが多いです。前段で紹介したように、高齢者の家族の方は、小さな声かけや行動からやってくと良いでしょう。
まとめ~自分らしい生きがいを見つけるためのヒントと実践アイデア~
高齢者の「やることがない」という状況は、決して珍しいことではありません。大切なのは、その状況を理解し、無理をせずに小さな一歩から始めることです。
生きがいを見つけるためのヒント:
- 過去の経験を活かす – これまでの人生で培った知識や技術は貴重な財産です。それが生かせる場所が、あなたが輝ける場所です。
- 小さなことから始める – いきなり大きな変化を求めず、日常の中の小さな楽しみから始めましょう。
- 人とのつながりを大切にする – 一人でできることでも、誰かと共有することで喜びは倍増します。
- 新しいことへの挑戦を恐れない – 年齢は新しいことを始める障害にはなりません。
- 自分のペースを大切にする – 他人と比較せず、自分らしい過ごし方を見つけましょう。
ご家族の方々も、高齢者の方々の気持ちに寄り添い、無理強いをせずにサポートしていくことが重要です。時には見守ることも大切な支援の一つです。
人生100年時代と言われる現代において、高齢期の過ごし方はますます重要になっています。「やることがない」から「やりたいことがある」生活へ変化させることが、日々を楽しく生きるコツ、長生きするコツとも言えます。
高齢者に小さな楽しみをプレゼントできるサービス~まごともの紹介~
今回の記事ではやることがない高齢者について、その問題点から解決策までを紹介してきました。
しかしながら、高齢者の方にとって、やりたいことを能動的に探すというのはなかなか大変なことです。
家族からの声かけも、本人がその気にならなければあまり効果がありません。家族からの、もっと楽しく生き生きとした日々を過ごしてほしいという願いはなかなか伝わらないことが多いことでしょう。
そういった方におすすめな、「まごとも」のサービスについて紹介します。
『まごとも』とは、介護福祉士監修の研修を受けた若者が大学生が高齢者の自宅に訪問することで、一人暮らしの高齢者の様子を定期的に見守りつつ 日常への刺激や人とコミュニケーションする機会を提供してくれる京大発ベンチャーが開発したサービスです。
孫世代の大学生と交流し、お話したり、散歩をしたり、買い物に行ったり…。
やることがない高齢者の方にいつもとは少し違う、楽しい時間を提供します。
『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。
ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。
また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。
詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。
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