今回のお悩み:高齢の親が忘れっぽくなってきたため、認知症の初期症状や予防策について教えてほしい

今回届いたお悩みはこちらです。

70代前半の母が、最近忘れっぽくなってきている気がします。
生活に支障が出るほどではないのですが、買い物に行ったときに 数年前まではエコバッグを使っていたのに、エコバッグを持っているのに毎回レジ袋をもらってきてしまったり、数分前に質問してきたことを もう一度質問してきたりします。
歳をとったら忘れっぽくなることくらいあるだろう、と思って特に気にしていなかったのですが、先日 75歳以上になると認知症のリスクが急増するという話を聞き、急に少し心配になり始めました。
認知症の初期症状やとるべき対策などについて教えていただきたいです。
( 40代女性 )

認知症は、特定の病気が原因で認知症の症状が出ている場合を除いて、一度発症してしまうと完治が難しいといわれています。
今回の相談者さんのように 高齢の親をもつ世代の方の場合、「親が認知症になったら大変だろうなぁ」「最近忘れっぽい気がするけど、これが認知症の初期症状だったらどうしよう」と不安になることもあるかもしれません。
認知症の発症はどのように見分けることができるのか、また、認知症の発生や進行を抑えるためには どのような方法があるのか、今回も3人の専門家をお呼びして それぞれの見解をお聞きしました。

① 認知症専門医 藤原さん(58)の視点:加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い

加齢と認知症、それぞれによる物忘れの特徴を理解する

物忘れは誰にでも起こることですが、「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」には明確な違いがあります。
この違いを理解することが、適切な対応の第一歩となります。

加齢による物忘れには、次のような特徴があります。

  • 体験したことの一部を忘れる
  • ヒントを与えられると思い出せる
  • 時間・場所などの見当がつく
  • 日常生活に支障はない
  • 物忘れしていることの自覚がある

一方、認知症による物忘れには、次のような特徴が見られます。

  • 体験したことの全部を忘れる
  • 新しい出来事を記憶できない
  • ヒントを与えられても思い出せない
  • 時間・場所などの見当がつかない
  • 日常生活に支障がある
  • 物忘れしていることの自覚がない

具体的な判断の仕方

今回の相談者の事例に当てはめて考えてみましょう。
例えば、お母様がエコバッグを持っているのにレジ袋をもらってきてしまう状況。
家に帰ってきたときに「またエコバッグを使わずにレジ袋をもらっちゃった」と言っているのであれば、これは物忘れの自覚があるため、老化による物忘れと考えられます。
しかし、自分がエコバッグを持って行ったのにレジ袋をもらったということ自体がはっきりわかっていない場合や、「エコバッグなんか持って行っていない」と主張する場合などは、認知症による物忘れの可能性が高くなります。
また、同じ質問を何度もしてくる状況についても、「さっき聞いたのに忘れちゃった」と言って聞いてくる場合や、再度答えを聞いた後に「あ、そうだったね!」と先ほどの答えを思い出す場合は加齢による物忘れ。
一方、さっき質問したこと自体をすっかり忘れているようであれば、認知症による物忘れの可能性があります。

対策の違い

加齢による物忘れの場合は、メモをとる習慣をつける、日常生活を送るうえで目に付きやすいところにメモを張り付けておくなど、日常生活に工夫を取り入れることで補うことができる場合が多いです。
一方、認知症による物忘れの場合は、早期発見・早期治療が非常に重要です。
認知症と思われる症状に気づいたら、まずは専門医への受診をお勧めします。
早期に適切な治療を始めることで、症状の進行を遅らせることが可能だからです。
ただし、現時点では加齢による物忘れでも、将来的に認知症を発症する可能性は十分にあります。
そのため、認知症予防の取り組みを今から始めておくことが重要です。

② 健康科学研究者 杉山さん(46)の視点:生活習慣の改善による認知症予防

生活習慣と認知症の深い関係

最近の研究では、認知症は生活習慣と深い関係があり、生活習慣の改善によって認知症の発症リスクを大幅に下げられることがわかってきました。
予防には特に、「食生活」「運動」「社会活動」の3つの要素が重要です。

食生活を見直す

認知症予防に効果的な食事として注目されているのが、「地中海式食事法」です。
具体的には、野菜、果物、全粒穀物、豆類、ナッツ類を豊富に摂り、魚や鶏肉を適度に、赤身の肉や加工肉は控えめにします。
また、オリーブオイルを積極的に取り入れることも推奨されています。
特に青魚に含まれるDHA・EPAやクルクミン(ターメリックに含まれる)、ポリフェノール(ブルーベリーなどのベリー類に豊富)などは、脳の健康維持に役立つと言われています。
また、過度の糖分や脂質の摂取は控え、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

適度な運動を習慣化する

有酸素運動は、脳への血流を増やし、認知機能の低下を防ぐ効果があります。
ウォーキングやジョギング、水泳などを週に150分程度(1日30分を週5日など)行うことが推奨されています。
また、筋力トレーニングも週に2回程度取り入れるとよいでしょう。
運動は必ずしも厳しいものである必要はなく、散歩や軽いガーデニング、階段の上り下りなども効果があります。大切なのは、継続して行える運動を見つけることです。
お母様の場合、散歩やラジオ体操など、無理なく続けられる活動から始めるのがよいでしょう。

社会活動に積極的に参加する

人との交流や社会活動への参加は、認知症予防に非常に効果的です。
友人や家族との会話、地域のサークル活動、ボランティア活動などへの参加が勧められます。
また、脳を活性化させる活動も重要です。
読書や音楽鑑賞、パズルやクロスワード、将棋や囲碁などの頭を使うゲーム、新しい言語や楽器の学習なども認知機能の維持に役立ちます。
これらの活動は、脳に新しい刺激を与え、神経回路を活性化させる効果があります。
お母様の場合、これまでの趣味や興味を生かした活動を続けることも、新しい活動に挑戦することも、どちらも有効です。
大切なのは、楽しみながら続けられる活動を見つけることです。

③ 歯科医師 中村さん(52)の視点:歯の健康と認知症の意外な関係

歯周病と認知症の驚くべき関連性

一見関係ないように思われるかもしれませんが、実は歯の健康状態と認知症には密接な関連があることが、最近の研究で明らかになってきています。
特に歯周病は、認知症リスクを高める要因の一つとして注目されています。
歯周病になると、口腔内の細菌感染により炎症が起こります。
この炎症によって、「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に蓄積されやすくなることがわかっています。
このアミロイドβは、アルツハイマー型認知症の原因物質の一つとされています。

また、歯を失うことで咀嚼(そしゃく)機能が低下すると、脳への血流が減少し、必要な栄養素やエネルギーが十分に供給されなくなります。
咀嚼は脳への強い刺激となり、脳の活性化にも役立っているのです。

口腔ケアの重要性と具体的な対策

歯周病予防のためには、次のような口腔ケアが重要です。

● 正しい歯磨きの習慣をつける
1日3回、食後に丁寧に歯を磨くことが基本です。特に就寝前の歯磨きは重要です。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使って、歯と歯の間も清潔に保ちましょう。
● 定期的な歯科検診を受ける
半年に1回程度、定期的に歯科医院での検診とクリーニングを受けることをお勧めします。早期に問題を発見し、対処することで、重度の歯周病への進行を防げます。
● バランスの良い食事と咀嚼
硬い食べ物や繊維質の多い食品を意識的に取り入れ、よく噛んで食べることで、咀嚼機能を維持しましょう。ガムを噛むことも、咀嚼の良い運動になります。
● 喫煙を避ける
喫煙は歯周病のリスクを高めるため、禁煙することも口腔ケアの一環です。

お母様の場合、一度かかりつけの歯科医に相談し、口腔内の健康状態をチェックしてもらうことをお勧めします。
見た目では健康に見える歯も、歯周病の初期症状がある場合があります。
認知症予防の観点からも、口腔ケアは非常に重要な要素なのです。

まとめ

今回は、高齢の親の物忘れと認知症の関係について、3人の専門家の視点から解説しました。
加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い、生活習慣の改善による認知症予防法、そして歯の健康と認知症の意外な関連性について、それぞれの専門家から具体的なアドバイスをいただきました。
これらの知識を総合すると、認知症予防は特別なことではなく、日常生活の中での工夫や習慣づけによって実現できることがわかります。
物忘れの種類を正しく判断すること、バランスの良い食事と適度な運動、社会活動への参加、そして口腔ケアなど、様々な側面からアプローチすることが大切です。
もし認知症の初期症状と思われる兆候に気づいたら、早めに専門医に相談することも重要です。
早期発見・早期治療により、症状の進行を遅らせることが可能だからです。
最後に、認知症予防は早いうちから始めるほど効果的です。
今回ご紹介した方法を参考に、お母様だけでなく、相談者さんご自身も予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。
健やかな生活を送るための第一歩となれば幸いです。

おわりに ~まごとも利用のすすめ

今回は、認知症の予防などについて、3人の専門家の視点からご紹介してきました。
健康科学研究者の杉山さんは 予防策の一つとして 社会活動に積極的に参加することを挙げていましたが、人とのコミュニケーションをたくさんとるようにするというのは、認知症対策として非常によく挙げられるものの一つです。
そこで 最後に、大学生が高齢者の自宅に訪問して 刺激を与え、楽しい時間を過ごしたり定期的な見守りを行ったりするという画期的なサービスをご紹介します。
京大発ベンチャーが開発したサービス、『まごとも』です。

______________________________________________________

『まごとも』は、介護福祉士監修の研修を受けた若者がシニアのもとを訪問し、一緒にお出かけや、スマホやタブレットの支援など介護保険では対応できない日常生活をサポートするサービスです。

『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。

ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。

また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。

「まごとも」によって、介護によるストレスを減らして、すぐに始めることができる親孝行をしてみませんか?
詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。

公式LINEのリンクはこちら

皆さまのご連絡をお待ちしております。
お問い合わせ
株式会社whicker(ウィッカー)
 サービスHP:https://whicker.info/
各種SNS:https://lit.link/magotomo
メールアドレス:magotomo@whicker.info