今回の記事では、まごとものサービス内容をもっと知りたい方や、サービスのイメージがなかなか湧かない方向けに、実際にまごとものサービスを訪問者する大学生の視点から、率直な体験談と思いをお伝えする内容になっています。
この記事を読んで、まごともを通した交流の具体的なイメージの助けになったらうれしい限りです。
はじめに
「まごとも」のサービススタッフとして、実際に高齢者のお宅を訪問している大学生です。
私が担当させてもらっているYさん(仮称)との、「まごとも」を通した体験談をお伝えしたいと思います。
まずは私とYさんのプロフィールから。
「私」
- 京都大学に通う大学生
- 21歳 男
- 趣味は登山などのアウトドア
- 大学の近くで一人暮らし中
- まごともを知ったきっかけ:飲食店にあった広告
Yさん(仮称)
- 77歳 男 京都市内在住
- 仕事は定年退職済
- 数年前の怪我をきっかけに片足が動かしづらい状態に
- 趣味はスキーや登山だったが、いまではできなくなってしまう
- 奥さんと二人で暮らしている。(娘家族の家もすぐ近くにあり、ほぼ二世帯)
- まごともの利用のきっかけ:新聞記事でまごともを見つけた奥さんのすすめで
私がまごともで働くと決まってからのこと、介護福祉士監修の研修動画を見て、事前に共有されているYさんの情報を読み込んで、準備は万端でした。
初回訪問の日、自転車で30分強かけて利用者の方のお宅に向かう道中、準備は万端という気持ちとは裏腹に、心臓がドキドキと鳴り続けていました。
「知らない人のお宅に訪問するなんて初めて」「サービス提供側として、僕から利用者の方に何がしてあげられるのだろう」そんな不安な気持ちを抱えながら、ペダルを漕いでいたことを今でもよく覚えています。
しかし、実際に訪問を重ねる中で、想像していた以上に豊かで学びの多い時間を過ごさせていただいています。今回は、私が体験した印象深いエピソードと、この仕事を通じて感じたことを率直にお伝えしたいと思います。
初回訪問~インターホンを押すまでの葛藤~
共通の趣味への期待
担当させていただく方について事前に聞いていたのは、登山やスキーなどのアウトドア活動がお好きということでした。
僕自身も高校では登山部に所属していて、大学ではオリエンテーリングという森の中を駆けるスポーツをやっており、アウトドアが大好きだったので、「きっとたくさんお話しできる」と期待していました。
インターホンの前での緊張
いざお宅の前に着くと、インターホンを押すのにとても緊張しました。「お相手はどんな方だろうか」「うまく話せるだろうか」そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡っていました。
でも、実際にインターホンを押してお会いしてみると、とても温かく迎え入れてくださいました。「遠いところから来てくれてありがとう」そんな優しい言葉をかけていただき、一気に緊張がほぐれました。
共通の趣味から見えた現実
お部屋に上がらせていただき、初めに見せていただいたのはYさんがスキーをしている動画でした。
「スキーが好きで、毎週末京都から長野まで滑りに行っていた。こればっかりやっていた」
そんな風におっしゃっていました。
ところが、お話を聞いているうちに、数年前の怪我でスキーができなくなってしまったということを知りました。
それまで生きがいの一つだったスキーができなくなってしまったと語っている時の表情は、すごく寂しそうで暗く、僕が想像していた「楽しいアウトドア談義」とは違う現実がそこにはありました。
初回はスマートフォンから
初回の訪問では、メールの見方や電話帳の見方など、スマートフォンの基本的な使い方を教えることから始めました。僕たちが当たり前のように使っている機能も、丁寧に一つずつ説明する必要があることを実感しました。
二回目訪問~歩数計と新たな目標~
お互いの趣味を深く知る
二回目の訪問でも、前回に続いてスマートフォンの使い方を教えながら、お互いの趣味についてより深く話しました。
怪我をしてしまってからなかなか運動できずにいることや、訪問介護の際にたまにウォーキングに行くことがあるということを教えてくださいました。
オリエンテーリングの魅力を伝える
僕からは大学でやっているオリエンテーリングというスポーツについてお話ししました。地図とコンパスを使って山の中を駆け巡るスポーツの話を、とても興味深く聞いてくださいました。
世代は違っても、アウトドアへの情熱は共通していることを感じた瞬間でした。
(オリエンテーリングの地図をお見せしている様子 画像は個人情報保護のためAIで加工)
歩数計で記録を可視化
「ウォーキングの歩数をスマートフォンで記録できるんですよ」とお教えしたところ、とても興味を示してくださいました。
歩数の記録をスマートフォンでどのように見るかを丁寧に解説しました。
上高地への大きな夢
そして、その時に聞かせていただいたのが「今度は上高地の徳澤園というキャンプ場まで行く」という大きな目標でした。
このキャンプ場は、車で行けるところから徒歩で二~三時間程度離れています。
足の怪我の影響もあり、いつものウォーキングも平坦なルートをゆっくり一時間かけて歩くといった感じなので、本人もキャンプ場までたどり着けるかはわからない、といった様子でした。
怪我でスキーはできなくなったけれど、まだまだ新しいことに挑戦したいという気持ちを持ち続けていらっしゃることに、とても感動しました。また、このチャレンジを精一杯サポートしたい、そう強く感じた瞬間でした。
三回目訪問~初めての散歩で見えた変化~
一緒に散歩することに
前回、スマートフォンの歩数計の使い方を教えていたので、今度は実際に一緒に散歩に行くことになりました。僕自身も楽しみにしていましたが、利用者の方から「一緒に歩こう」と言ってくださって嬉しかったです。
散歩中の豊かな時間
いつものウォーキングコースを教えてもらいながら一緒に歩きました。道中では、昔行ったスキー場の思い出話や、昔の京都市がどんな感じだったかなど、とても興味深い話をたくさんしてくださいました。
「昔は京都市内にもスキー場があって、比叡山でもスキーができた」「京都の山だと、あの山は眺めがよくてお勧めだ」など、僕にとっては初めて知る地域の歴史や変化を、歩きながら教えていただきました。
(一緒に散歩している様子 画像は個人情報保護のためAIで加工)
嬉しい変化の実感
散歩の終わりに「いつも訪問介護のときに行くウォーキングより調子よく、すらすら歩くことができた」と言っていただけました。この言葉がとても嬉しくて、僕も一緒におしゃべりしながら歩くといったことだけで、良い影響を与えられたのかもしれないと感じました。
四回目以降~まるでおじいちゃんの家のように~
家族のような関係性
訪問にも慣れてきて、今ではまるでおじいちゃんの家に遊びに行くような感覚で訪問させていただいています。最初の緊張感はすっかりなくなり、自然体で接することができるようになりました。
歩数記録が楽しみに
毎回訪問すると、この一週間でどれくらい歩いたかの記録を楽しそうに見せてくださるようになりました。「今週は○○歩も歩いたよ」と嬉しそうに報告してくださる姿を見ていると、歩数計を教えて本当に良かったと思います。
表情の大きな変化
最初の訪問時に見た寂しそうな表情は今ではすっかりなくなり、笑顔をたくさん見せてくださるようになりました。この変化が何より嬉しく、僕自身も毎回の訪問が楽しみになっています。
三つの新たな挑戦
Google検索との出会い
ある日の訪問で、Googleのログイン方法がわからず困っていらっしゃることがわかりました。一緒に解決して使えるようにすると、お庭の植物がお好きということで、Googleレンズを使って「これが何の植物か調べてみましょう」と試してみました。
次の訪問では、検索エンジンでいろんなことを調べられるようになっており、「便利だね」と喜んでくださいました。
英語学習への再挑戦
「英語のスキルがなまってしまっているから、英語が聴けるアプリを入れたい」というご希望をお聞きし、一緒に最適なアプリを探してインストールしました。
一緒に英語のリスニングを聞いてみると気に入ってくださり、その後、日頃の日課にしてくださっているということで、とても嬉しく思っています。
散歩の継続と深まる交流
三回目以降、散歩は私たちの定番の活動となりました。毎回新しい発見があり、昔の京都の話から人生の哲学まで、歩きながらの会話は尽きることがありません。
「一緒だと調子よく歩ける」と言っていただけることが何より嬉しく、僕自身も毎回の散歩を楽しみにしています。
利用者の方の本音を聞いて~心の穴埋めとしての役割~
様々な想いを聞かせていただく
訪問を重ねる中で、Yさんのいろいろな想いを聞かせていただく機会が増えました。
訪問介護の方は、一生懸命接してくれているが似た趣味や共通の話題がなく、また介護関連のことを中心に一緒に行うので、物足りないと感じている部分があること。
息子さんが離れたところで暮らしていることでたまに感じる寂しさ、体が動かしにくくなってしまったことで奥様にはこれ以上迷惑をかけられないと感じていることなど。
なかなか、こういったことを話せる相手がいないといったこともおっしゃっており、Yさんの心の内が垣間見えました。
心の穴埋めとしての価値
そうしたお話を聞かせていただく中で、「そうした部分の心の穴埋めとして助かっている」ということを教えていただきました。僕にとっては些細なことでも、利用者の方にとっては大きな意味があることを知り、この仕事の価値を深く理解することができました。
世代間交流で得た学び~日常の良いスパイス~
友達のような関係性
世代間交流を通して、友達のような感覚で接することで高齢者の方の心に寄り添うような関わり方ができることに大きな喜びを感じています。
最初は「サービス提供者」と「利用者」という関係だと思っていましたが、今では本当に友達のような感覚です。
僕自身への良い刺激
僕にとっても、大学に通う上で一人暮らしをしているので、年配の方と関わる機会はあまりありません。
世代の異なる方の考え方や、世の中のニュースの捉え方を聞いて、とても良い刺激になっています。
日常におけるスパイス
高齢の方との関わりは、僕の日常における良いスパイスであると感じています。
大学生活だけでは体験できない学びや気づきがあり、人生の先輩から教わることの価値を実感しています。
(散歩の途中 水分休憩しているときの様子 画像は個人情報保護のためAIで加工)
この体験を通じて感じたまごともの価値
高齢者の等身大の悩みに寄り添う意味
高齢者の方が感じる様々な等身大の悩みや想いを聞いて、まごともサービスの素晴らしさを改めて感じました。
訪問介護や医療サービスでは対応しきれない「心の隙間」があることを知りました。
それは世代間のコミュニケーションの不足だったり、単純に「誰かと話したい」という気持ちだったり。
訪問介護や医療サービスは、介護、医療といった部分がサービスの中心です。
それに比べてまごともでは、ただ一緒に楽しむことが活動内容となっており、他のサービスにはない高齢者の方とのかかわり方がそこにはあると感じました。
そうした部分にまごともが果たす役割の大きさを実感しています。
双方向の学びの価値
最初は「僕が何かを提供する」と思っていましたが、実際には僕の方が多くのことを学ばせていただいていることに気づきました。人生経験の豊富さ、困難を乗り越えてきた強さ、新しいことへの挑戦する意欲。高齢者の方から教わることは計り知れません。
この「教え合い、学び合う」関係性こそが、まごともの本当の価値だと感じています。一方的な支援ではなく、お互いが成長できる関係を築けることが、他のサービスにはない特徴だと思います。
小さな変化が生む大きな効果
歩数計を見せてくださる時の嬉しそうな表情や、英語アプリを日課にしてくださっている様子を見ていると、小さなきっかけが大きな変化につながることを実感します。
「今週は○○歩歩いた」という報告一つにしても、それが生活の目標となり、外出のきっかけとなり、健康維持につながっている。まごともが提供するのは大きなサービスではないかもしれませんが、日常の小さな変化を積み重ねることで、生活の質全体を向上させる力があると感じています。
家族への安心も提供する価値
訪問後に送る写真付きレポートについて、ご家族の方から感謝の言葉をいただくことがあります。離れて暮らすご家族にとって、親御さんの笑顔を見ることができる安心感は計り知れないものだと思います。
まごともは利用者の方だけでなく、そのご家族にとっても価値のあるサービスだということを実感しています。親御さんが楽しく過ごしている様子を知ることで、ご家族も安心して自分の生活に集中できるのではないでしょうか。
まとめ~想像以上の学びと成長~
最初は緊張しながら自転車で向かった訪問も、今では毎回楽しみにしている時間となりました。利用者の方の笑顔の変化、新しいことに挑戦する姿勢、そして僕自身の成長。すべてが想像以上に豊かな体験となっています。
Google検索で植物を調べたり、英語アプリで一緒に学習したり、散歩しながら昔話を聞いたり。
スマートフォンの使い方を教えるという小さなことから始まった関係が、今では互いにとってかけがえのない時間となっています。
高齢者の方々との交流に興味がある学生の皆さんや、まごともサービスを検討されているご家族の方々に、この体験談が参考になれば幸いです。
年齢を超えたつながりの中には、きっと想像以上の学びと喜びが待っています。
まごともの活動は、単なるサービス提供ではなく、世代を超えた心のつながりを作る、とても意味のある取り組みだと心から感じています。これからも、この貴重な体験を大切にしていきたいと思います。
新たな趣味の選択肢!~まごともの紹介~
今回の記事ではまごともの活動について、訪問する大学生側の視点から詳しくご紹介しました。
改めて、老後の生活で、新しい趣味を探していたり、なにか代り映えのしない日常に少し違う色を加えたいとおもっていたりする方にお勧めのサービスである『まごとも』を紹介します。
『まごとも』とは、介護福祉士監修の研修を受けた若者が大学生が高齢者の自宅に訪問することで、一人暮らしの高齢者の様子を定期的に見守りつつ 日常への刺激や人とコミュニケーションする機会を提供してくれる京大発ベンチャーが開発したサービスです。
『まごとも』では、若者との交流を通して、高齢者に精神面での活力を受け取っていただき、生きる喜びや目的を見出し、積極的に行動を起こせるようになると考えます。
「まごとも」を利用されたシニアの方の中には、車椅子状態で引きこもっていた状態から自主的に歩行トレーニングを始めて、補助器なしで歩けるようになった方もいらっしゃいます。
ご家族からは、「親の日常にハリが出た」「親がポジティブになった」など、嬉しい声を数多く頂戴しています。シニアの皆さまからは、「元気がもらえた」「楽しかった。ありがとう」など心から楽しかったと思える時間を提供しています。
また、業務終了後に笑顔の写真付きのレポートを提供させていただいています。ご家族の皆さまも元気をもらって、安心して、仕事やプライベートに集中できます。
詳しくは、以下の公式LINEから詳細の情報をご覧ください。
皆さまのご連絡をお待ちしております。
お問い合わせ
株式会社whicker(ウィッカー)
サービスHP:https://whicker.info/